君と過ごす新しいセカイ新しいそんな生活
久々に知り合いに会う機会があった、本当に久々だった
オレの後輩で幼馴染で、咲希の旦那さんな冬弥に会っていた
場所は昔良く言っていたファミレス、咲希は今回友人と一緒らしく、久々にお昼ごはんどうだろうか?とお誘いがあったのだ
たわいのない会話をしながら、ふと最近ニュースになってる話になった
「司さん、最近犬の種類が増えたのご存知ですか?」
「ん?ああ、知っているぞ人の形に似ているのだろう?ただ、まだ世には出ていないらしいな」
「咲希さんともその話になって、もし一般の人でも家族にできる日があったら考えるのもいいなって」
「確かに、家族に迎えるのもいいかもしれないな…まだ一般公開はされていないらしいからな」
一般公開はされていないものの、ニュースにはなっていた
人と変わらず、成長する犬(最近猫もいるらしいが)子供が作れない夫婦や同性同士のカップルの間では話題になっていたのだ
ただ、まだ特別な?人にしか報告がないらしい
富豪の人とか、そのあたり
もしかしたら、えむには話がいってるのかもしれないな?…まぁ、最近あいつらとも会っていないがな
それを冬弥も気づいているのか、苦笑いしていたが
長く話していたら、咲希から連絡があったらしく近くまで来ているとのことで、外まで出ることに
ガタンと車輪が音を鳴らしながら動き出す
もう慣れてしまったオレの「相棒」はそろそろメンテナンスが必要ならしい
「司さん、そろそろ車椅子もメンテナンスですか?」
「そうだなぁ、流石に動かしすぎたみたいだな…今度知り合いのところにでも行くとしよう」
オレの足は大学の時に交通事故で悪くなってしまい、今ではこの相棒がないと外に行くのが困難になってしまった
子供が横断歩道で転んでしまい、そこにトラックが突っ込んできたのをオレが庇ってしまったんだ
流石に死ぬかとも思ってしまったが、命の方には別状はなく、失ってしまったのは足の機能だけだった
そのせいでか、オレはショーはできなくなってしまい、申し訳なくなってしまって
昔の仲間達に会えずにいた、あれから何年経ってしまったんだろうな
冬弥と咲希が結婚し、オレは今とても幸せで仕方がなかった
結婚式なぜか2人は家族だけといって、天馬と青柳、そして一歌たち幼馴染だけの小さなものだけになったんだけどな?
その理由が、オレがあまりにも他の人と会えなくなってしまっているからと、2人からの気遣いだったのだ
懐かしい想いに浸っていたら、咲希が走ってこっちに来ていた
「お兄ちゃーんとーやくーん」
「咲希走っては危ない危ないからゆっくり来なさいっ」
「だってだってお兄ちゃんに会うの久しぶりなんだもん電話は毎日してるけど」
「すまないなぁ、車椅子が壊れてしまっていて…最近やっと直ってな?」
「でも、司さん自分で直したらしく、今度ちゃんとしたところで直してもらうらしい」
お兄ちゃんらしいと笑いながら、私が車椅子押すねって押してくれた
その後はショッピングモールに行って咲希の買い物に付き合ったり
オレの今後のご飯を一緒に見てもらったり、楽しい一日を過ごしていた
「お兄ちゃん、えむちゃんからね…お兄ちゃん元気?って良く聞くんだ」
「俺も草薙や神城先輩から良く司さんのことを聞かれます」
「あー…だよな、うーん…話してくれても構わない、ただまだ会うことは少し難しいな」
「うん、わかったよ私はお兄ちゃんが大丈夫になるまで、待ってるから」
「はい、俺もです…草薙たちもわかってくれると思いますし」
「2人とも…本当にありがとうな…ここまでで大丈夫だぞ、逆方向なのにここまでありがとうな?」
2人にお礼を言って、手を振り家路へと車椅子を動かし始める
いつもの道が工事で通れなくなっていることを忘れていて、途中で思い出しては遠回りの道に行くことに
少し暗い洞窟(短いが)を通り抜けて行かないといけなく、車椅子のオレだと少し辛いがここは気合いでなんとかするとしよう
洞窟を進んでいると、かぼそい声だが動物らしき声が聞こえてきた
多分この鳴き声は犬…か?
どこにいるのだろうと、あたりを見回すと端っこの方に居た
アプリコットのような、東雲色のような綺麗な毛並みの、大型犬
でも、首輪がないから捨て犬なのだろうか?こんなところに?酷すぎないだろうか…
車椅子でその犬に近づいてみると、その子は人が怖いのかオレが近づいてくるとグルルっと唸り始めた
「す、すまないっ怖がらないでおくれ、お前に怖いことをするわけではないのからっ」
「グルル…ワンっ‼︎」
「わっちょっ落ち着いてくれ…っあ゙っ⁉︎」
怖がってしまっている犬がこちらに突っ込んできてしまい、車椅子がバランスを崩し倒れてしまった
ガシャンっといい音がして倒れてしまい、オレはうまく立ち上がることができなくなってしまった
やばいっと思いながらも上半身を起こそうとするが、うまく起き上がってくれず
それを見ていた犬が、吠えるのをやめてオレを起き上がらせてくれたのだ
その顔は申し訳なさそうな感じがしていた
流石大型犬、170越えの男でも立ち上がらせることが出来てしまった
ありがとう、とお礼を言うとなぜか匂いを嗅がれていた
なので、好きにさせていたら警戒が解けたのか、側に寄ってきてくれた
「もしかして、オレのこと大丈夫な人だと認識してくれたのか?」
「わふ」
「っありがとうな…そうだ、お前さえ良ければオレと一緒に暮らしてはくれないだろうか?見ての通りオレは足が悪くてなこう、補助がないと移動ができない状態なんだ…家でもなんだが、それで、お前に支えて欲しいと思うのだが…どうだろうか?」
「……わんっ」
その子は少し考えるそぶりを見せ(犬なのに人みたいな仕草だな)一言吠えた
これは、了承を得たと思っても良いのだろうか?
オレが車椅子に座るのを確認すると、鼻先で足をつつかれる
まるで、早く行くぞと言われているような感じだ
都合のいい解釈をしながら、オレは家へと帰路を進めることに
明日、この子のものを買ってあげないとな、新しい家族ができたことにオレは楽しみが増えた気がして
今日、この道をきてよかっったと思うようになった
オレが住んでいるのはマンションの一部屋
ペット可だったので一安心すると、エレベータにところまで着く
オレの部屋は七階で「7…7っと」と呟いていると、器用に鼻先で7のボタンを押している、先ほど家族になった犬がいた
え、流石に器用すぎないか?こんなにいい子で器用で人の手伝いをしてくれる子を、前の飼い主は捨てたと言うのだろうか?
首輪は付いていないと思っていたが、代わりにドックタグが付いていて、そこには「彰人」と書いていた
これは、この子の名前だろうか?それと首輪の代わりにドックタグをつけるのをどこかで見たことがあるような…
試しに名前を呼んでみると、短くわふと返事が返ってきた
「あきと、彰人かふふっかっこいい名前だな?オレは司だ、わかるか?」
「わふくぅん」
「わっふふっくすぐったいぞぉ」
名前を呼ばれたのが嬉しいのかお腹に鼻先をぐりぐりとしてきたので思わず笑ってしまった
七階を示すランプが点灯し、オレと彰人はエレベーターから降りる
その後は部屋の前に着くとドアを少し開けろと言われんばかりに前足でドアを叩いている
慌ててドアを開けると、器用に彰人がドアを開けるでないか
本当にすごいなって想いなながら部屋に入る
特に何かある訳でもないオレの部屋は少し広く感じるほどだった
だが、彰人が来た今、少し狭いかもしれんな?と考えるように
オロオロと周りを見回す彰人、こっちだぞと車椅子から降りて手すりを掴みながらリビングまで案内する
その間隣でオレが倒れないように支えてくれている彰人、本当にいい子だな…