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    shira_an_ishi

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    shira_an_ishi

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    8月9日 ハグの日

    ハグ 「15cmがハグのしやすい身長差らしいですよ」
     「はぁ」
     「ノイマン大尉は173cmでしたよね?」
     「そうですけど」
     脈絡もなく身長差がどうとか言い出したハインラインに適当に相槌を打っていたノイマンだが、突然自分のパーソナルな部分をさらりと言われ、なんで知ってんだよという言葉は飲み込こんだ。
     「今日はハグの日だそうです」
     「ハグの日?…あぁ8月9日ね」
     「そうです。言葉遊びのようなものですね」
     「はぁ、それで?」
     「ですのでハグ、しましょう」
     「なんで?」
     なにが「ですので」なんだ?どこに掛かってる「ですので」だ?先程の身長差15cmの話なら、2人に15cmの差が無いといけない。だがどう見たって…。
     「ハインライン大尉は身長188cmなんですか?」
     「まさか」
     「ですよね」
     「ですので、さぁ」
     ハインラインは両手を広げノイマンが飛び込んでくるのを待っている。だからなんの「ですので」なんだよ。めんどくさいなぁなんて思いながらノイマンはハインラインの腕の中に滑り込んだ。
     「どうですか?」
     「どう、と言われても」
     「ハグしにくいですか?」
     「いや、それは別に…」
     ハインラインの声が耳のすぐ近くから聞こえてきて心臓に悪い。声が良すぎる。その声から逃げるべく身をよじるが、ハインラインの両手が腰から離れない。というか腰の後ろに回された両の手は組まれてしまい、少し仰け反った体制で留まる事になった。
     「そもそもハグしやすいしにくいってなんだよ…ハグできればそれでいいんじゃないですか?」
     「さすがノイマン大尉。僕の見込んだ男だ。僕も同意見です」
     「はぁ…」 
     「ですので、身長差などいう障害は僕達には関係ないのです。だからこれからもハグしあいましょう」
     「お断りします」
     「なぜ!?」
     というかそろそろ離れてくれないかな、などと思っていたらそんな提案をされた。そんなの断るに決まってる。
     ハインラインのボディにノイマンの拳が入るまで、あと10秒。
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    shira_an_ishi

    INFO7月13日 星に願いを ノイマン受けオンリー"日誌を伏せた操舵手"で発行のハイノイ短編集「今日はなんの日?まとめ。」のサンプルです。

    「今日はなんの日?」と「今日はなんの日?そのに。」を再録したものとなります。

    10月27日の無配・ハロウィンのお話、冬至のお話、Xで投稿済み7個の再録と、書き下ろし6個を収録予定です。

    サンプルとして書き下ろしの一つ、5月4日みどりの日のお話を掲載します。
    魅惑のエメラルド次々と口の中に消えていくホットドッグ。見ていて気持ちがいいくらいによく食べる。大口を開け、がぶりと齧るとケチャップとマスタードが溢れ出た。口の端に付くケチャップも厭わず、次の一口へと進むのだ。
    「…よく食べますね」
    「そうか?あんたはそれで足りるのかよ」
    「えぇ、僕はこれで十分です」
    ハインラインはコーヒーを一口すすり、少し足りないくらいがちょうどいいんですと伝えた。ふーん、とさほど興味がないようで、ノイマンは黙々とホットドッグを食べ進める。
    「付いてますよ」
    「ん?」
    「ケチャップ」
    「どこ」
    「そこです」
    指で示すが見当違いの場所を拭いとっている。そこではないと誘導するが上手くいかなかった。まぁいいや、と諦めるのが早いノイマンは口の端のケチャップを気にもとめずにかぶりつく。
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