偽物の花嫁なのに水龍に執着されて離してもらえません!◇◆プロローグ◆◇
柔らかな日差しが差し込むチャペルの中、フリーナは純白のウェディングドレスを身にまとい、祭壇の前に立っていた。その内心は、結婚式とは思えないほど緊張と戸惑いに満ちている。
ちらりと盗み見た先は、──フリーナの婚約者、ヌヴィレットの姿。
今日初めて彼の姿を目にしたが、彼は想像よりも遥かに美しい容姿をしていた。陶器のように滑らかな白い肌、絹のような白銀の長い髪、そして朝焼けを思わせる紫がかった瞳。しかし彼の表情はまるで氷のように冷たかった。
「永遠の愛を誓いますか?」
神父の問いかけに、ヌヴィレットはにこりともせず「誓います」とだけ答える。その声は澄んでいたが、まるでこの結婚自体に興味がないかのように、感情が込められていない。そしてフリーナも後に続き宣誓した。
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