廻1 末の弟の悠仁は不思議な少年だった。
兄である自分が言うのものではないかもしれないが、負の意味は無く全てを含めて自分は末の弟を愛している。そこは勘違いしないでほしいのだが、客観的にと言う意味合いを込めると「不思議な」と言う言葉を使わざるを得ない。
今年15歳になった末の弟の悠仁とは10歳が離れているが、この歳になるまでの彼の不思議たる所以の数々を言わせてほしい。
俺の母親は多産の家系の生まれで、その系室の血筋を見込まれてこの家に嫁いできた。当時の屋敷の当主であった俺の父親は仕事に熱中しすぎて長年恋だの愛だのにうつつを抜かす事もなく、気づけば50を当に過ぎてしまい、流石に後継が1人もいないと言う事実に焦ったらしい。慌てて見繕った妻と言うのが母である。母は当時まだ20になったばかりの若さであった。誰もが母を憐れみ、喜んだのは家の関係者だけであっただろう。
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