せいかーせいかー
弟の操る言葉の節々が、まるで型しかない切り紙に見える時が、ある。
【であい】
ーきっと、神様が笑ったんだよ。
そう打ち込んでスマホの画面を見せてきた末の弟は、上目で俺の表情を探った。俺はきっとなんとも言えない顔をしていたんだろう。ふ、っと口元だけで笑う。
ー俺が生まれる時にさ、苦しみなさい、って送り出したんだと思う。
この世界で、以前と変わらず暮らしているのだと何の疑いもなく信じていた。例え、自分の事を覚えていなかったとしても。暖かい陽だまりのように人を照らし、光の中心を歩んでいるものだと、きっと。そこに、自分はいなくても。
今度こそ何の不自由もなく暮らしているものだと。
ーかわいそう?
弟の指が画面を滑り、新しく言葉を紡いだ。見つめる瞳からは、なんの感情も受け取れない。
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