種族反転😈🈂️2本立て――――――
友情寄り
『悪魔召喚やってみたらピンチになる話。』
――――――
「さとしくん。
悪魔召喚やってみた!
って企画どうですか?」
ブラックが提案する企画は90パーセント面白い。残りの10パーセントは俺が怖いから却下した企画だ。
今回はいつもの90パーセントだろうな、と思って賛同した。
ブラックは人間ワザ超えたレベルに器用なことができて、悪魔のおれより悪魔に詳しい。
悪魔召喚も大成功の鬼バズりで終わるだろうな〜、と軽く考えてしまった。
―――
カラフルな電飾で飾り付けられた部屋のど真ん中、円形に蝋燭を立てて、チョークで床に描いた魔法陣。
そこから飛び出てきた悪魔は角の生えた成人男性といった見た目で、おれよりずっと大人だ。
そいつは声をかけようとしたブラックの脚を掴んで持ち上げて、壁にぶん投げた。
「カ…ッ!!」
苦しそうな声をあげて、ア魔ゾンの段ボールの束へ倒れ込む。
「ブラック…!!!
な、なんで!?
ブラックは話の通じる悪魔を呼び出せるって言ってたよね…??」
まさか失敗!?ブラックが失敗するなんて……
いやそれより、話通じない悪魔って、おれも危ないぞ!?
「や、やらなきゃ…ブラックには当たらないように……
デビルサ――ッ!!??」
腹にめり込む拳。
内側に痛みが伝わったかと思えば気持ち悪いものが込み上げてきて、視界は大きく揺れて、体が浮いて、羽と背中に固い壁がぶつかって。
柔らかいとこ…ベッドに落ちた。
息を吸いたいのに咳き込むのが止まらない。汗も涙も止まらない。
「かはッ… はッ…!」
やばい…!!
やばいやばいやばい!!!
この凶暴な悪魔を殺す気でやらないとおれもブラックも殺される!
ブラックが怪我しないように祈りながらデビルサンダーを撃つしかない、まじで巻き込んだらごめん!!
両手を掲げて魔力を高める。
でも、相手はすぐに距離を詰めてきて俺の手を潰すような力で握った。
「ひ、ぃ…ッ!!」
『ホンモノだ……』
え!? 喋れたのかよこいつ!
『ホンモノのさとしじゃん!?うわーちっさw 簡単にぶっ飛んだし!!w』
なんか、バカにされてるのはわかる。
おれの手をにぎにぎ、かと思えば、舌なめずりして太ももや腹を触りだした。
『へ、へへへ……かわいいなあ…。』
「な…なに…?
…やだ……やめて…!」
俺の声を無視して、今度はおれの羽を念入りに触る。いやだ、むずむずする、こわい、さわり方がブラックと違う…なんか気持ち悪い…たすけて…
『泣いてるじゃんw まじでエロいな、撮ろw』
「!? や、やだっ……」
顔を両腕で覆うと、悪魔から低い声が出た。
『うざいなハメ撮りさせろよ。つか召喚したのそっちじゃん?』
「ちがうっちがうっ…」
『違わねーだろw
いいから顔見せろよ、うわ鼻水出して汚ねえ!ww』
「う、うぅ〜……ぶらっくぅ…」
口をついで出た名前に、悪魔は大爆笑した。
『ぎゃーはっはっは!!www
人間にww助け求めてらww
マジかよこいつwww
動画で見るよりアホじゃんwww』
ひとしきり笑ったあと、悪魔は俺の肩を乱暴に掴んで抱き寄せ、壁に指をさす。
『さとしクンの大好きなオレちゃんは………あれ??』
ブラックがいない。
俺も悪魔も、気づかなかないうちに……
――バチバチバチッ!!
部屋中の電飾が弾けて眩い閃光となり、目をつぶってないと耐えられなくなる。
悪魔の仕業じゃないようで、困惑した声を上げている。
後ろから襟首を掴まれて息苦しくなったかと思えば、すぐに解放されて、あの悪魔の声が遠くなっていく、電気の弾ける音は大きくなった気がする。
でも、それより、おれが聞きたいのは………
「カカ!さとしくんの大好きなオレちゃんが、どうしたんですかね〜?」
ブラックの声!!無事だったんだ!!
まぶたをゆっくり開くと、目の前にはスラリとした体の人間の男。
そしてその奥には……首に、電飾が巻き付けられた、苦しそうな悪魔がいる…。
あぁ……絶対カットするとこだな……。
「ディス・イズ・炎ターテイメント!!!!」
ブラックが手に持ったスイッチを押すと、悪魔の首に巻きついている電飾は強く輝いて爆発した。
まさに大炎上。悪魔は首から上が焼け焦げてる。巻きついた電飾はまだバチバチといって燃えている。
こわすぎる。BAN確定の絵面だな…。
悪魔の体が力無く倒れた時、ベッドに引火して部屋ごと燃えちゃうんじゃないかと思った。
でも悪魔は電飾ごと消失した。部屋もおれたちも無事だ。
「倒したモンスターは消えるものですからね。カカカ!」
「……………。」
ゲーム感覚かよ!?
と、心の中でツッコミいれて、それから色々聞きたいことはある。でも力が抜けちゃって、へたり込むだけだ。
ブラックは満足気な笑みを浮かべつつ、おれの肩に手を置いた。優しい声で「頑張りましたね。」なんて言うもんだから、一気に安心感が広がって、涙が出てきた。
ブラックはおれの頭を撫でて、羽の付け根を撫でて、耳元で囁く。蕩けそうなくらい優しい声だ。
「契約書の内容では、さとしくんがお片付けの呪文を唱えれば、部屋が綺麗になります。」
「ん……なんて言うの?」
「△○※▽▽○※」
「ん?? は??…もう一回言って?」
「だから……△○※▽▽○※」
「言えるかあッ!!この悪魔〜!!」
「カカカw 悪魔は君でしょう?」
結局おれに呪文は唱えられず、地道に片付けようってことになった。
「さとしくんが唱えられたら面倒くさくなかったのに……お詫びに10割やってください。」
「全部じゃん!?」
「冗談ですよ、今回はオレちゃんがド変態悪魔さんを呼び出してしまうケースを想定できなかったせいでもありますからね。
失敗に備えて契約書に色々と書き込んでいたから良かったですが……。」
「じゃあブラックが気配消したり出来たのは契約書のおかげなんだ?
……そういえば!最初ぶん投げられたよね!?大丈夫なの!?」
「今更ですかw
少し痛みますけど、受け身とったので平気です。
さとしくんはモロにパンチくらってましたね、もっと頑丈な体の悪魔で良かったって思った方がいいですよ。人間なら骨折れて内臓傷ついて吐血ものです。」
「う、うん…そうだね……」
今回は俺の方がダメージ受けたみたいだ。ブラックが無事でよかったけど。
――――――
😈🈂️
『悪魔さとしくんを毎日監視してる人間ブラックの話。』
――――――
パソコンのモニターに映される無邪気な悪魔の少年さとしは、魔界ケルベロスの顎を撫でて、一頭から大きな舌で顔を舐められると笑顔になった。
少し巻き戻すと、初めて触れ合う生物への怯えを隠さない青ざめた顔が映った。
「……1分で慣れた。ように感じますね、完成した動画では。」
つづいて、編集ソフトで開いた動画のデータは、カットをしていない素の状態。
怯えた顔のままグダグダしている部分があり、ここをそのまま使う気はしない。
ここのシーンはブラックとさとししか知らない裏側と言える。そういう事実が、ブラックにとって堪らなく愛おしい事実だった。
「カカw情けない顔ですねえw」
目の前にさとしが居るような声で笑って、編集ソフトと完成した動画データのウィンドウを閉じる。
「さとしくん、そろそろ夕食終わりましたかね。」
別のソフトを開くと、ローディングがしばらくあって、さとしの部屋の映像が流れる。
ドアが開かれて入ってきたさとしの姿が動いて、ランドセルの中を見ている。
これは、盗撮しているもので、ラグはあるがリアルタイムでさとしの部屋の様子がわかる。
魔界の平和なところにあるさとしの家。平和とはいえ、人間のブラックがそう易々とおじゃまできる所では無い。
ブラックはたまに招き入れて貰えるが、その時間だけでは己の好奇心が満足しなかったので、彼の部屋に入れてもらった時に小型カメラをしかけ、以降は人間界から監視するのを日課にしている。
人間界にある小学校に通う子だからか、魔界にいる間の私生活を見ていても大して常識外れのシーンはない。それでもブラックは飽きずに毎日観察を続けた。
「さとしくん、また0点のテスト隠してますね…ベッドの下に……バレバレですよw」
もちろん、さとしへ教えてやる気はない。いたずらに怯えさせては離れていってしまう。
今のブラックは、普通の友達という意識で見られている。いずれはさとしの人生の大きな歯車だと意識させるが、それは慌てずに時間をかけてじっくりと形造るべきだ。
その形に嵌って、噛み合えば、さとしはブラックから決して離れないと確信していた。
「……宿題もせずフォントナイト。
以前0点続きでゲーム取り上げられたっていうのに懲りないですねえ。まったく、またオレちゃんが勉強教えるんでしょうか?」
やれやれ、と言いつつマグカップを手に取りコーヒーを飲んだ。
それは最後の一口分で、空になったカップと画面の中でゲームをしているさとしの呑気な顔を交互に見た。
さとしの様子はしばらく変わらないだろうと思い、席を立って流し台でカップを軽く水洗いして、食洗機に入れて、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し部屋に持っていく。
22時半にさとしが就寝するまでずっと観察して、それからパソコンの電源を落として、穏やかに眠りについた。
ブラックはあまり夢を見るタイプじゃないが、沢山観察した日はさとしの夢を見る確率が上がる。そうすると、朝起きてからどんどん撮影したい企画のアイディアが沸いてくる。分厚い撮影契約書だってスラスラ書ける。
さとしに企画を話すと、喜ばれ、ブラックはすごいと無邪気に言ってくる。
その笑顔を見るとブラックは心の底から嬉しくなる。やっぱり、お互いのことをよく知っているのは良い事だ、と感じる。
一切後ろめたさが無いと、悪い感情に敏感な種族の悪魔も見抜けない。
ブラックはさとしに受け入れられる度に、ただただ嬉しく、ただただ愛おしく思った。
さとしはブラックに知られれば知られるほど、疑問すら抱かずに受け入れて、まだ幼い依存心を育んでいる。