👹😈 話すだけ――魔獣とのケンカの動画を撮影し終えたアカネ、撮影助手の青オニちゃんとデータを確認して、編集のため家に向かう。
その途中、悪魔系YouTuberブラックと出会う。
どうやらネタ探し中らしい。
「アカネさんはどんな撮影を?」
「凶暴な魔獣100匹倒してみた!ってやつだ。」
「それは大迫力間違いなしですね!……髪が乱れているのは撮影後だからですか。」
「あっ…気づかなかった…!」
少し赤くなって、慌てて手櫛で整えようとするが、かえってどんどん乱れていく。
「アカネさん……不器用ですねえw」
「うるせー!」
「まったく。ジッとしててください。」
「え!?」
ブラックは躊躇いなくアカネの髪に触れ、優しく撫でるようにして整えていく。表情1つ変えずに、丁寧に。しかも自然と距離は近い。
アカネは戸惑いと緊張で固まってしまって、真っ赤な顔でじーっとブラックの動きを見ていた。
「…………はい。これで良いですね。
アカネさん、終わりましたよ。」
「…え!……あぁ……ありがと。」
「いえいえ……本当にジッとしててくれましたね。少し意外です。」
「はぁ?どういう意味だよ。」
「触るなって暴れられるかと思ってました。」
「アタシはそんなに暴力的じゃないぞ。敵意がないなら殴らない。」
「カカw 冗談上手いですね。
オレちゃんはアカネさんに敵意持ったことないですよ。」
「あれは……からかうのが悪いんだよ。
舐められたら脅すか殴るだろ?」
「充分暴力的じゃないですか!」
ブラックは嬉しそうに笑う。そして一息ついて、宙にパソコンを浮かべてカタカタと何か文字を打っている。
「アカネさんと話していたらオレちゃんもバトル動画撮りたくなりました。」
「いいじゃん!どんなの?」
「さとしくんをSCPと戦わせます。」
「ブラックのバトルじゃないのかよ!ってか、SCP?さとしがかなうわけないだろ?」
「わかりませんよ?意外な逆転をしてくれるかもしれません。」
「その「意外」を引くまで何度もやり直すのか?」
「おや?どうしてそう思うんですか?」
「……さあな、鬼の勘ってやつだ。」
「アカネさんらしい回答ですね。野性的で。」
「へへっ………まあ何にしても、さとしにあんまり無茶させるなよ?人間って脆いんだからな。」
「わかってます。危なくなったらちゃんと助けますよ、助けに入れるタイプのSCPを選んで………
あっ、アカネさんもご一緒にどうです?鬼とSCPのバトル!これは鬼バズりですよ!!」
「アタシもバトルできるのか!?
戦いたいヤツばっかりで迷うなーっ!」
さっきまで魔獣100匹とバトルしていたはずなのだが、もう次の強敵とのバトルにワクワクが止まらない様子だ。
ブラックはSCPの図鑑を見せてやりながら、アカネのリアクションを楽しく眺めていた。
(人間も鬼も、いいリアクションです。アカネさんの撮影にこっそりついてきて良かったですね。
……オレちゃんが度々世界を改変してるのに気づいていたのには驚きましたが……ま、さすがアカネさんってところです。根っこが単細胞で助かりました。)