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    催花雨

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    催花雨

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    👓🐣デートin神奈川の冒頭部分です。添削してないので完成する頃には大幅に変わってる可能性あり。タイトルも仮です。

    オレの知らない君の話 暑さもだいぶ落ち着いて、窓を開けるだけで心地良い風が頬を撫でる。最後の卵焼きをもぐもぐと咀嚼するほっさんの髪に光る蜻蛉玉が、チカチカと俺に存在を主張している。見る度に優越感を抱いていることは本人には秘密だ。ごちそうさまでした、と手を合わせたほっさんがパッと笑顔で口を開く。
    「粋くんって小田原に住んでたんだよね?」
    「ええ、まあ。一応生まれも育ちも小田原ですよ」
    「前にライブで行った所の近く?」
    「あそこからは少し離れてますねえ。同じ小田原でもちょっと田舎というか。良くも悪くも普通って感じの所ですよ」
    生まれてからの16年間を過ごした街だ。思い出そうと思えばあらゆるものが鮮明に浮かぶ。あの頃に戻りたい、なんて考えは特にないけど、全てを忘れたいほど嫌な記憶しかないわけでもない。懐かしさみたいなものだって胸に込み上げてくる。
    「行ってみたいな、粋くんの故郷」
    「え、時間もお金もそこそこかかりますよ?」
    「そうなんだけど……プチ旅行みたいな? 日帰りでさ。ほら来週末は部活もオフだし!」
    「来週末って、それはまた随分と急ですねぇ」
    口ではそう言いながらも予定を確認してしまう俺も俺だ。この人の望みなら叶えてあげたい。そう思うのは愛なのだろうか。こうして俺は思いもよらぬタイミングで、故郷へと帰るきっかけを手に入れてしまった。
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