無題(…重大任務なんだ。絶対に成功させなきゃ。)
夜の帳が下りる時間、少女はきょろきょろと辺りを見回す。隣にいる男が本当に眠っているのか何度も顔を覗きこんだ。
(昔は私が眠ってても起きてたってヒースが言ってた。最近は寝てるみたいだけどいつ起きるか分からない…)
少女はおそるおそる眠る男の左手を触る。その手は上に上がっていき、とある指にそっと触れた。
「…エレナ?まだ起きてるのか?」
咄嗟に手を引っ込め、慌てて寝たふりをする。起き上がった男ーーシノにはお見通しかもしれないが、何も反応を返さない方がかえってバレにくいものだ。
「……おやすみ。」
シノの手が少女ーーエレナの頭をそっと撫でた。大鎌を握るその手はいつもゴツゴツしていたけれどエレナはその手が優しく自分の頭を撫でるのが好きだった。
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