嫌いじゃない「甘いもん、食いたい」
突然悟がそうぽつりと呟いたかと思ったら、食いたい食いたいと駄々を捏ね始めた。子どもか。
「悟うるさい。まずは任務に集中しろ」
「こんな雑魚に俺が手こずるわけねーだろ」
現実問題、数が多いだけで二級以下の雑魚呪霊しかいないのだから、悟の敵ではないだろう。傑もそう思う。けれど、そういう問題でもないだろう。これは術師として正式に依頼されている任務だ。
「悟、まずは任務を……」
「はいはいウルセーウルセー」
「悟」
「傑の正論は聞き飽きたっつーの」
舌をべろっと出して、こちらを煽ってくる悟の顔に苛立って仕方が無い。思わずこめかみがひくりと脈打った。どうして彼はいつもこうなのだろう。甘やかされて育ったせいか。そうなのか。これだからボンボンは。
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