あなたは私を助けてくれた時から私のヒーローだった。
あなたが私を助けてくれなかったら私はもうあなたを知らずに殺されていた、と思う。だからあなたは私の命の恩人でもあり、同時に私が恋した、愛した人、1番のヒーローなんだ。でも、あなたはそう思ってないみたいだった。あなたが勇気を出して戦う度、どこか苦しそうで、それでも戦い続ける姿はまるで悲劇のヒーローみたいで。もう十分戦ってきたのに、私にとってだけでなく、クリークのみんなにとっても悪人を退治してくれる立派なヒーローだったのに。戦いを重ねれば重ねる度にあなたは何かを見失っているみたいだった。見えない何かを必死に追い求めているようで、私にはその求めた先に何があるのか、あなたには何が見えているのかが、分からなかった。私は知ってるの。毎日命懸けで頑張っていて、増えていく傷を私に隠れて手当てしていたり、心配させないように平気なふうに取り繕ってるのを。だから気がついたら居なくなりそうで、もうあなたがあなたじゃなくなりそうで、これ以上苦しむ姿を見たくなくて、いたたまれなかった。
もういい、もういいよ、ジャスタ。もう、戦わないで。それだけを伝えたかったのに、やっとの思いで掴んだ袖を握りしめて口から出た言葉は違った。
「ジャスタ、ジャスタは私の1番のヒーローだよ。」
これは私の本心で、二度と変わることのない気持ちだった。
いつもはどうしようも無くナイフを突き立ててしまうものだからあなたは少し驚いていた。
「 ─ 何だよ、急に」
「、ううん、なんでもないよ。」
あなたは優しい顔で微笑んで言った。
「ありがとうな。」
そうしてあなたの袖を掴んでいた私の手を優しく引き離して行ってしまった。そう、あなたは優しすぎた。困っている人がいたら必ず、助けてくれる。クリークの為、人の為だけに力を使った。私がそばに居たくて着いているだけなのに、いざという時は身を呈して庇ってくれた。なんて優しいヒーローなんだろう。そんなヒーローに私の声はもう届かなかった。あなたの終着点はどこなのだろうか。私がヒーローと呼んでも、あなたは足も止めずに見えない先へと進もうとして離れていく。私はそんなヒーローの背中を見つめることしかできなかった。 それが最後だと知らずに。