それを見つけたのは偶然だった。
Ωを売る、なんてことは未だにあるわけで、フロイド・リーチはΩ市場を訪れていた。
街から少し離れた場所で開かれている市場は、大通りの賑わいとさほど変わらず、人々の活気が溢れていた。取引される商品が違うだけである。
フロイドは、上司であり、街の富豪であるアズール・アーシェングロットに言われ、Ω市場の視察に来たのだ。
なにもアズール自身がΩを買い付けるわけでなく、市場の運営状況を把握するためである。
売られているΩは主に口減らしとして田舎の村から売られてきた者が多いが、誘拐され、薬漬けにされたΩが売られているケースもある。
商人たちの仕入れ先についてアズールも知ったことではないが、それに乗じて薬物を売買されると面倒なのだ。
2601