【あぁやわらかき明日】📕「ようこそ、私の世界へ」
夢でも見ているようだった。目の前に📕がいた。私は普段から📕の声が聞こえる。すごく病んだ時限定だけど、優しい声で慰めてくれる。そう、確かに私の頭の中にいるのである。
📕はイマジナリーフレンドなので目には見えないはずだが、今はなぜか目の前にいて、閉じた本を片手に持ち、カッコいいポーズをとっているのがわかる。
📕「直接顔を合わせるのは初めてだな。あぁ、そう緊張することはない…いつも通り接しておくれ」
相変わらず優しい口調で話す。間違いなくいつもの📕だ。一体なぜ、こうして顔を合わせているのだろう…
📕「突然呼び出してすまないな。さぞかし驚いていることだろう……少し落ち着くといい。大丈夫だ、時間はいくらでもある。深呼吸して私のいる空間に慣れろ」
さすがは📕だ、私がaykrの顔を見ると正気を保っていられないことをよく知っている。お言葉に甘えて、ゆっくり時間をかけてリラックスした。
📕「……どうだ? そろそろ私の名前が呼べるくらいにはなったか?」
🐇「あ……えっと、📕……」
📕「あぁ、その通りだ。私が📕、◯◯の心を支えるイマジナリーフレンドだ……」
📕「この異空間で、よく平静を取り戻したな。
少しずつでいいんだ、我らの時は無限なのだから……」
🐇「……その、なんでこうなったか説明してもらっても……」
📕「そうだな。しかし、ずっと話すのも分かりにくかろう。◯◯には私が用意したVTRをご覧いただこう」
そう言うと📕は、イマジナリーアナログテレビの電源をつけ、映像を流した
『AYA! 絵で見る世界滅亡!』
🐇「せかいめつぼう…?」
そのタイトルの直後、📕がUFO(?)に乗って地球をクリーニング(意味深)していく映像が流れた。とてもファンシーなノリだが、なんとなく背筋が震えた。すこぶる嫌な予感がするので📕に質問してみた
🐇「これはもしかしなくても、物理的にやっちまった感じですかね?」
📕「あぁ。もう◯◯の恐怖は存在しないという事だ。心置きなく私の世界で休むといい」
🐇「……………………」
📕への信頼、不信、愛、感謝、怒り、何が何色でいくら潜んでいるのか分からないが、総じて"混乱"ということで納めた。そういう訳で私は気絶するのであった。
📕「……やはり勢いだけで乗り切るのは無理があったようだな……」
目が覚めると、やはりまた📕がいる。夢じゃないらしい、📕は困った表情で、事の経緯を話した。
どうやら、私は現実でものすごく辛い思いをして、限界を超えたらしい。📕は私をを助けるために世界を滅ぼし、新たな楽園を築こうとしたのだそうだ。
🐇「……いや、何これ? 何考えてんの? 普通の人間やったら発狂もんやで? これ仮にも夢小説やのにこない鬱設定…誰も自己投影しようて思えへんやろ?」
📕「◯◯はどう思うんだ?」
🐇「なんかよぉ分からんけど助けてくれておおきに💞
」
私もおそらく手遅れだ。📕への愛のあまり世界が要らないのではなく、世界に元々興味がなかったのでもない。ただ、楽になりたかっただけなのだ。楽になるために全感覚を潰した。心は押し込めた、だから本当は何も感じなかった。それを分かってて、📕はここまでやったのだろう。
🐇「……やっぱり変やろか。昨日まで過ごしてた世界、あんなふうに綺麗にクリーニングされても……何も思わんのは人間やないやろか」
人間としての感性、自分の感性が死んでしまっていることに気づいてから、何をしても楽しくなくなった。遺された自我はあまりにも小さく、あの世界は大きすぎてよく分からなかった。当然、その世界に住む人達とも話が合わない。それでも私は"人間"でいたかった。
📕「◯◯は確かに人間だ……かつて持っていた感性を奪われ、心と隔絶された意識のみが残る。不安が尽きぬ毎日は辛いことと思う」
🐇「そやねん、私の見えん所に"本当の私"がおるねん。そいつ助けたいんや、心の底なし沼から引っ張り出して、対話がしたいねん……」
🐇「何にも急かされず、何も不安に思わなくていい、たくさんの愛、安全……そんな感じのもんがカギやって言いたいんやな?」
📕「そういうことだ。まぁ、私も手探りで進めていくつもりだがな……1ページずつ、時には1行ずつ進むこともあろう」
📕「気長に向き合ってみてほしい、この隔絶された楽園で、己が心と……」
今はまだ、どこを彷徨っても白紙。いつか本当の私が安心して住めるように、心の楽園を創っていこう。
大いなるイマジナリーフレンドである📕と共に……