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    まだまだ途中のナギヤマ小説一部よ〜!!
    今回あげた部分には含まれないけど🔞アリでwebオンリーに出す予定よ!


    「なあ、ナギとしてはさ」
    「開口一番にワタシの意見を要するとは……。余程、重要なテーマなんでしょうね?」
     二人の青年が仕事も終わった一日の終わりに、逢瀬をしていた。流れる髪の毛の動きまで再現した精巧なものから、デフォルメされた二等身のものまで、多くの美少女フィギュアが棚に並んでいる。部屋の持ち主を六弥ナギと言う。フィギュアに限らず、部屋に飾っているポスターなどのアニメグッズは彼の趣味により少しずつ集めてきたものだ。ナギに問いかけた眼鏡をかけた青年──二階堂大和は、ナギの神妙そうな声は素通りして、言葉を続ける。
    「俺がコスプレとかしたらどう思う? 仕事以外の、完全にプライベートで」
     瞬間、ナギの肩口が大きく跳ねた。かと思うと、すうはあと、深呼吸を数回繰り返す。
    「wonderful……! ヤマト、ついにコスプレイヤーへの道を歩みますか? ワタシの布教、実りました!」
     Foo! と両手を挙げて子どものようにはしゃぐナギは、大和の手のひらを強く握りしめてきた。大きな手のひらで思い切り掴まれると、大和も思わず呻き声を上げてしまう。そもそも、ナギの力が強い。
    「待って、手ェ痛いから! 誰もコスプレイヤーになるとは言ってない!」
    「Hmm? 他にどのような意味が? せっかく、目醒めに立ち会えたと思っていたのに」
     頬を膨らませながらも、大和の手は解放してくれた。
    「ごめん、言い換えるわ。ナギ自身が俺にして欲しいコスプレ……あれば言ってくれるか」
     大和としては、大衆が集うイベントに出たいわけでも、SNSに写真をアップロードしたいわけでもない。
    「たまには、俺の方からお前の趣味に付き合うのも悪くないかなって。いっつもいつも、お前に付き合わされてアニメとか見るもんだからか、何となくそう思ったんだよ」
     二次元の美少女について大和は相変わらずあまり詳しくなれていなかったが、ナギの話に耳を傾けたりすれば、いつだって目を輝かせている。そんなにも夢中になれる趣味を持っているナギの様子は、側で見ているだけでもどこか楽しい。大和も、自分の手でナギの瞳に星を宿してみたい、喜ばせたい、ふと心に望みが過った。
    「ヤマト……。その言葉だけで、胸に温かい光が灯るようです。本当に嬉しい」
     美しい顔立ちが形なしになりそうな程、顔を綻ばせている。自らの趣味に恋人も寄り添ってくれることに、ナギの目頭までも熱くなりそうだった。大和の口からは思わず可愛い、と漏れそうになったが、咳払いをして誤魔化した。
    「悪いけど、ここなちゃんってのは無しな」
    「ここなのコスプレは頼みませんので、ご安心を。口を開いてセリフを誦じても、解釈違いになると思います」
     おずおずと大和が告げたところに、食い気味に反論を飛ばした。確かにあの可愛い魔法少女は、三月や或いは陸辺りに扮して貰う方が似合っている。そこまでは大和も想像出来るものの、即答されると少し悔しい。歯軋りでもしそうになった。
    「アナタにして欲しいコスプレ、迷いますね。ただ……」
     改めて、真剣な眼差しで大和を射抜く。顔に何か付いていたか、と大和は自身を疑った。青い視線は何を追求するわけでもなく、ただじっと見つめる。
    「仮に、眼鏡を外してカラーコンタクトをして欲しいとリクエストしても、叶えてくれますか」
     う、と返したきり、言葉が詰まった。今やナギの目の前で眼鏡越しの素顔を見せることには抵抗しないが、コンタクトの装着は別だ。目の表面にうっすら異物が張り付くような感覚や、風や光がほぼ直接目に飛び込むのが慣れない。今でも、仕事ですら付ける機会はなかった。
    「コスプレというのは、生半可な覚悟で挑んではなりません。優雅に泳ぐ白鳥は、水面の下で知れず脚を動かしています。あれと同じです。たった一人のキャラクターになりきり、そこに立つ──いわばそれだけのことに、一見して分かりにくい努力をしているのです」
     大和が得手としている、演技に対してとは少し違うが、ナギの言葉は慈雨が地面に溶けるように素直に聴けた。自分ではない人物の生を簡単に演じているように見えても、そこには弛まない努力という道路が皆各々の後ろに伸びているのである。
    「これで分かりました。特定のキャラクターのコスプレは、今のヤマトには少々ハードルが高いかと」
     俯き気味の大和を見て、ナギが眉を下げた。大和が無理をしていなかったか、心配をしている。カラーコンタクトとか努力云々は嘘を言ったわけでもないが、いつの日かコスプレをして貰うならば、それは願わくばナギのためだけでなく、大和自身が思い切り楽しんで欲しい。そんな日が来れば、この上なく幸せだ。
     ナギが顎に手を当てて何事か考え込んだあとに、パチっと目を見開いた。
    「ワタシもヤマトも楽しめること、思いつきました。このワタシがコスプレします!」
    「えっ、マジで?」
     大和のコスプレから一瞬で話題が切り替わったことに、大和は息を呑んだ。
    「大マジです。やるからには、本気で取り組ませて貰います。次にワタシ達のオフが重なるのはいつですか」
     大和が、スマートフォンから予定表を素早く立ち上げた。何日分かの予定を一瞥する。
    「ちょっと待って……再来週のこの日」
     二人で一つの液晶を覗き見る。距離が近づくと、花のような芳香が感じられた。ナギが使っている香水だ。気に入りのものは何個かあると聞いている。その中でも甘めの匂いだと大和は思った。ベタベタと大量に付けることはしないので、近づかないと知れない、内緒話のような甘さを持っている。何かの計画を立てるナギの表情は、切れ味ある真剣のように鋭い。すうっと細まった瞳に、に大和の心拍数が上昇しそうだった。早く何か言って欲しい。
    「Thanks。二週間もあれば十分です。この日は、予定を入れてはなりませんよ。アナタの目を奪うような作品を見せて差し上げます」
     胸に手を当てて、高らかに宣誓した。
    「早速今から考えたいので、good-byです、ヤマト……。秘密にしていた方が、熟したときの味の深さが増すでしょうから」
     別れを惜しみ涙ぐむエチュードをしつつ、ドアの方を指さす。
    「睡眠時間あんまり削るなよ……」
    「Yes! 構ってあげられなくて、すみません。寂しがり屋のウサギさん」
    「それやめろ!」
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