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    takusan189

    @takusan189

    三右がすき

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    takusan189

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    花三ワンドロワンライ
    お題「初〇〇」をお借りしました。
    あけまして花三!おめでとうございます!

    はつゆめ「さくらぎ」
    ミッチーが俺を呼んでいる。いつもの煩い声じゃなくて、砂糖菓子のような甘ったるい声で。
    「さくらぎ、なぁ、こっち来て」
    誘われるままに手を伸ばすのに触れられない。触れたくて仕方がないのに、近づいた分だけ離れて行ってしまう。
    「さくらぎ、すきだよ」
    目を細めて柔らかく笑うミッチーは今まで見た事もない表情で――

    「み、ミッチー!!!!」
    もう少しで手が届く。捕まえられる。というところで目が覚めた。天井に向かって伸ばした手は当然空を切っていて何も捕まえられていない。心臓がバクバクと脈打っている。
    「どうした〜?花道」
    俺の大声で目を覚ましたらしい洋平が欠伸をしながら声をかけてきた。昨夜は俺の家にみんなで集まって年越しをしたんだ。周りを見回せば忠も高宮も大楠もそこら辺に転がっている。
    「ミッチーが……」
    「ミッチー?」
    「俺のこと、好きだって」
    「ミッチーが、花道のこと好き……?えっ!なにその話詳しく!」
    カッと目を見開いた洋平は掴みかかる勢いで詰め寄ってきた。その表情はニヤニヤとにやけている。面白いことを見つけた時の洋平の顔だ。
    洋平の声で他のヤツらも目を覚まし、なんだなんだと起き上がる。結局寝る前と同じく車座になった状態で、俺はついさっきまで見ていた夢の話を聞き出されるハメになった。
    「なんだ、夢かよ〜」
    「でも夢に出てくるのって相手に想われてるから、とか言わねぇ?」
    「逆だろ。その人のこと想いすぎて夢にまで見ちゃう〜ってことじゃねぇの?」
    「じゃあ花道はミッチーのことが好き……ってこと!?」
    ひゅ〜!と声を揃える4人に順に頭突きをして沈める。夢の内容を茶化されて笑い飛ばせるほど、俺はまだ冷静になりきれていなかった。
    あんな夢を見てしまうなんて、自分でも驚いている。ミッチーのことはちょっとバスケが上手くてちゃんと教えてくれる良い奴だとは思ってるが、それ以上でも以下でもないはず。強いて名前をつけるなら「チームメイト」であり「先輩」だ。選抜予選が終わって引退してからは顔を合わせることが減り、少し寂しいなぁと思うことも無くはないけれども。
    「……それだ!」
    そうだ、今まで口うるさかったミッチーがいなくなって寂しかったんだな、俺は。なんだかんだ言ってもミッチーは良い奴だから。バスケのことを色々教えてくれたし、ゴリやリョーちんより教え方は上手いし、スリーポイントはちょっとすごかったし、怪我の時はたくさん見舞いに来てくれたし、リハビリのときも寄り添ってくれてたし、よく肉まんとか奢ってくれたし、笑顔はちょっとかわいいし。そう、だから、ミッチーの夢を見たのは、ちょび〜っと恋しくなったとか、それだけのこと。


    「花道のせいで早く目が覚めちまった」
    そんな文句を言い出した洋平の提案で、朝飯を買いがてら初詣に行くことになった。早くと言ってももう午前9時を回るところ。神社が近づくにつれて人は多くなり、参道には参拝客が列を作っていた。
    「あ、桜木じゃねぇか」
    「お〜、堀田クン。お年玉くれ」
    「なんでだよ!」
    境内に入るなり高宮は出店の方へと吸い込まれて行った。それを追って大楠と忠も姿を消した。お参りよりも食いもんとは罰当たりな奴らめ。残った洋平と参拝の為に並んでいると、どこからともなく堀田クンたちが現れた。もう参拝を終えたのか、手には温かそうな甘酒を持っている。
    洋平は和やかに「あけましておめでとう〜」などと挨拶を交わしていて、なんだかんだで仲良くなってるんだよなぁと不思議に思う。洋平はあまり人に懐かないのに、バスケ部の応援という共通項があったからだろうか。
    「そうだ、お前らみっちゃん見なかったか?」
    「み、ミッチーだと!?」
    大袈裟に反応した俺に堀田クンたちは首をかしげ、洋平だけが爆笑している。名前を聞いたら今朝見た夢を思い出してしまった。ドクンドクンとまた心臓が騒ぎ出す。
    「さっきまで一緒だったんだけど、はぐれちまって」
    「なんだと!?ミッチーいなくなったのか!」
    「え、ああ、まぁ」
    「大変じゃないか!探しに行かねぇと!」
    「は……?いや、ミッチーもガキじゃねぇんだから大丈夫だろ」
    「まぁな、もしかしたら先に帰ってるかも」
    ミッチーが1人になっているというのに、洋平はともかく堀田クンたちまで慌てる様子はない。なぜだ。1人にしちゃダメだろ。だってミッチーは、
    「あんなに可愛いのに、1人にしたらナンパされちまうかも……!」
    「「「はぁ?」」」
    「それか、誘拐とか!?」
    「お、おい、桜木……何言ってんだ?」
    「そうだぞ花道、ミッチーは一般人よりデカい男だ」
    まだどこか面白がってる表情の洋平が言う。堀田クンたちは困惑したままだ。
    「だ、だが、ミッチーは、」
    さくらぎ、と呼ぶ夢の中のミッチーを思い出す。目を細めて頬を赤らめ、俺だけを見つめていた。甘やかな声で俺を呼んでいた。好きだと言ってくれた。堀田クンたちとはぐれて心細くて泣いてるかもしれない。そうだ、ミッチーは泣き虫だった。
    「俺……ミッチー探しに行ってくる!」
    「は!?おい、花道!」
    洋平と堀田クンたちがなにか叫んでいたが、俺はその輪から離れて人混みを駆け出した。ミッチーはこんな人混みの中で堀田クンたちを探して彷徨っているのだろう。早く見つけてやらなければ。
    しばらく探し回っていると、出店の付近にミッチーの姿を見つけた。無事であったことの安心感から一旦力が抜けるが、その表情が優れないことに気づきまた慌てて駆け寄る。周りには金髪の輩がいて、そいつに絡まれているのかもしれない。いや、そうに違いない。
    「お前らミッチーから離れやがれ!!!」
    「へ?あ、花道?」
    「何してんだ花道」
    「あ、おい!ちょ、待て!!!」
    俺の声に気づいて振り返った輩たちは知った顔をしていたが、飛びかかった勢いは急には止められず。俺は大楠、忠、高宮を押し潰すようにして着地した。
    「なんだ、お前らか」
    「なんだじゃねぇよ!」
    ブーブーと文句を言う輩たちは一先ず置いといて、ミッチーに向き直る。ミッチーは俺と潰された輩たちを見比べて苦笑いを浮かべていた。
    「なにやってんだよ、正月早々」
    「ミッチー、あ、あけましておめでとう!」
    「おー、おめでとさん」
    「大丈夫だったか?」
    「あ?なにが?」
    「怖かったな、はぐれた上にこんなヤツらに絡まれて」
    「は?」
    「この天才桜木が来たからにはもう安心だ!」
    「……まぁ、屋台メシ集られてたから助かったけどよ」
    ミッチーは俺の下で潰れてる三人に向かってペロッと舌を出して見せ、挑発するように笑った。なにそれ可愛い。そんな可愛い顔をコイツらに見せてやる必要はないのに。
    「堀田クンたちが探してたぞ、ミッチー」
    「ああ、そうなんだよ。見つかんねぇしもう帰ろうかと思ってた」
    「1人でか!?ダメだダメだ!俺が送る!」
    「え、なにお前さっきから……どういうノリなんだよ」
    「危ないだろう、1人じゃ。またナンパされるかもしれない」
    誰かの「別に俺らはナンパしてねぇぞ」という文句が聞こえたが無視して、ミッチーの手を取り歩き出す。ミッチーは呑気に「またな〜」なんて言いながらも大人しく着いてきた。夢では触れることができなかった、捕まえる事ができなかったミッチーの手は寒さのせいで冷えていて、暖めるようにぎゅっと力を込めて握った。

    「今日は練習休みか?」
    「今日だけな!さすがに正月は休めって、キャプテン命令だ」
    「ふぅん……俺もそろそろ顔出してぇな」
    繋いだ左手はそのままに空いている右手だけでシュートを打つ仕草をするミッチー。相変わらず指先まで綺麗で思わず見とれそうになる。そうだ、ミッチーは綺麗だった。プレーの一つ一つがゴリともキツネともリョーちんとも違って、見とれてしまうことが何度かあった。
    「今日、ミッチーの夢、みたんだ」
    「俺の?バスケでもしてたか?」
    「いや、バスケでは、なかった」
    「ふぅん……俺も見たぜ?桜木の夢」
    「本当か!?ど、どんな……」
    ミッチーの夢にも俺が?そんなのもう、運命なんじゃないか。誰かが言っていた「その人のことを想いすぎて夢にまで見ちゃう〜」という言葉が頭を過ぎる。俺がミッチーの夢を見たのはミッチーのことが好きだから、なのかもしれないと認めつつある。だとしたら、ミッチーが俺の夢を見たのは?ミッチーも俺のことが……
    ちょいちょいと手招きをされたので少し屈むと、耳元にミッチーの口が寄せられる。その近さにすらドキドキとしているのに、耳に直接声を吹き込まれて頭がクラクラしてしまう。
    「手、繋いでデートする夢……正夢になっちまったな」
    元の距離に戻って行ったミッチーは、夢の中と同じように目を細めて柔らかく笑っていた。頬が少し色づいているのは寒さのせいか、それとも……
    「ミッチー、俺は……!」

    俺の初夢が正夢になったかどうかは、俺とミッチーだけの秘密だ。
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    Replies from the creator

    takusan189

    DONE花三ワンドロワンライ開催ありがとうございます!
    遅刻ですが参加させていただきます。
    お題「恋人としたいこと」
    思いつくまま書きなぐったのであまり纏まってません。
    大学生三井と高校生花道のおはなしです。
    ちょっと不穏?かもしれないです。
    恋人としたいこと恋人ができたら、こんなことをしたいとか、一緒にあの場所に行きたいとか、夢は山ほどあった。一緒に登下校したいという小さなことから、体を重ね合わせるような大きなことまで。初めてできた恋人は、少しずつ少しずつ、俺の望みをすべて叶えてくれた。
    甘やかされている自覚はある。なんせ2歳も年上だ。もともと部活の先輩という立場なこともあってか、俺の恋人はとにかく俺に甘い。付き合い始めた時だって、明らかに俺からの告白に動揺していたくせに、なんども諦めずに思いを伝えるうちに絆されて首を縦に振ってくれた。

    「……ミッチー」
    「おはよ、桜木。コーヒー飲むか?」
    「ん……シャワー浴びたのか?」
    「昨日あのまま寝ちまったからなぁ」

    目が覚めたら、一緒に眠ったはずの恋人は隣にいなくて、かわりに漂ってきたいい匂いにつられてキッチンへ向かう。そこには上裸でコーヒーをいれている恋人がいて、同じく上裸のまま後ろから抱きついた。コーヒーの香りにつられて来たが、ふわりと香る甘い匂い方がそそられる。シャンプーなのかボディーソープなのかわからないが、ミッチーから香る甘い匂い。
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    takusan189

    DONE2024.5.22三井誕生日おめでとう!!!!
    花三のお話です。
    何気なくて幸せな日のこと「……たんじょうび?」
    「おう」
    「今日、?」
    「おう!」
    「今日が、ミッチーの、誕生日?」
    「だから、そうだって」

    思わず頭を抱えたオレに、相手は悪びれることなく「びっくりしたか?」なんて得意げに笑っている。その笑顔もかわいいと思ってしまうあたりオレもなかなか重症なのだが、まぁ、かわいいものはかわいいのだから仕方がないと開き直りたい気持ちもある。

    恋人が突然訪ねてきたかと思えば何故かコンビニのケーキを持っていた。不思議に思いながらも甘いものを食べたい気分なんだろうと勝手に解釈して、冷蔵庫にある食材で適当な夕飯を作って一緒に食べた。
    ミッチーは料理があまり得意ではない。というか決まったメニューしか作れない。カレー、シチュー、チャーハン。あとは野菜をちぎったり刻んだりしただけのサラダ。焼肉のタレで炒めた肉。今のところオレが食わせてもらったのはそんなところ。正直なことを言えばどれも「まずくはない」という感想だったが、ミッチーが作ってくれたという一点だけで全てが絶品の料理だったし、実際に「最高にうまい」と伝えたし、そうするとミッチーは得意げな笑顔で「また作ってやる!」と言ってくれた。
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