私たちのお揃いひらり、ひら
「(あ…)」

視界に映る赤い色。 相も変わらず彼女＿らだ美は、シンボルマークの真っ赤なマフラーを靡かせながら歩いている。
　
＿実は密かに憧れている のはここだけの秘密ね。 マフラーだけじゃないよ テストで満点を取った時も、体育で汗を流している時も、普段の姿全てがキラキラして、憧れで……

「あ！そうだ！」
いいことを思いついた私は帰路に着く足を止め ショッピングモールに向かうのだった
　
〜
ぺこ家にて

「んふふ〜〜 ついに、買っちゃったーっ！」
そっと袋から出したのはさっき買ったばかりの黄色いマフラー。
これで、
「これで、私も らだ美さんみたいに…」
全てが成れなくても、お揃いのものを付けただけで彼女に成れたような気がして
鏡に映る冴えない自分も、どこかキラキラして見える

えへ、魔法みたい

ー
翌朝
「…」
鏡の前で格闘する私。 マフラーって意外とバランスよく巻くの難しいんだ…！？
「どぉしよぉ… あ。そういえば〜… 」
ふと昨日マフラーを買うついでに手に入れた雑誌に マフラーの巻き方特集があったことを思い出す
……
「お！いいじゃんこれ！」
くるり 鏡の前で回ってみる。ふわり 後ろで揺れる大きなリボン。
　 「まって、もしかしなくても私、かわいい？」
謎のテンションになりつつも 私は始業の時間が迫っていることに気が付き慌てて家を出るのだった_

ー
時系列
らみぺこ出会い (別小説) ここ
ー
🎶
思わず零れる鼻歌 あたい_らだ美は今誰がどう見ても上機嫌であるのがひと目でわかる

というのも 昨日初めて そう、 初めて！ の友達ができたのだ 浮かれずにはいられない

「しかも、あたいのことをわかってくれた…」

ふへ とひとり変な笑い声が出てしまう これではダメだ ぺちん と顔を叩き歩き出そうとした時

「あ〜！らだ美おはよぉ！！！！！！」
元気な声が聞こえてきて 振り返らずともわかるその声の主に また頬が緩む

「ぺんちゃんおは…おぉ。かわいいね。」
視界に映ったのはお揃いのマフラー…ではあったのだが 今日はひと味違う

「えへ、どう？どう？見てよ！ リボン巻き！雑誌に載っててさ〜…」

上機嫌に語り出すぺん子。よく喋る。 こんなに喋るヤツだったのか…そういえばクラスでもよく人に囲まれてたっけな〜…

「ねえ〜 聞いてんの〜？」
頬をプクッと膨らませぷんすか不満を漏らすぺん子。

「はいはい、あれでしょ？あたいが可愛いって話」
「ねえそんな話してない！」

少しふざけてみると返ってくる大きなリアクション なるほど 人が集まる理由がよくわかる

少しタレ目がちな目は溶けたような蜂蜜色で潤んでいて、髪はサラサラ オマケによく通る大きくて綺麗な声 はあこれは…

うーん

「ぺんちゃん、あんたモテるでしょ」
「はぁ！？急に何の話…もぉからかわないでよ〜」

うん 羨ましいな かわいい

人を羨むのは 生まれて初めてで 私は

「ねぇ、」

ぺんちゃん

「？なぁに」

「あたいも、リボン巻きにしたい」

かわいい 貴方みたいに 成りたいから＿