病み期に考えた☆合 柊真が翅に煽られて、襟首引っ掴んで顔面ボコボコにしてると、それを見つけた晋吾が走ってきて、その勢いで柊真を殴り倒す。
「てめー、何してんだよ!……翅、大丈夫か?」
柊真の手から逃れた翅は、襟がしまっていたのと口の中を切って血まみれごほごほぜえぜえ息をしてる。我に帰った柊真がそれ見て、自分がした事の重大さに気がつく。震えて逃げ出す柊真。
「立てるか?」
追いかけない晋吾と翅に、見ていた眞己が近づく。
「怒らないんだ?」
晋吾は翅に手を貸してやりながら、苦い顔をする。
「あいつ、どのタイミングでキレるかわかんねえんだよな。そのくせ殴った後はああやって「やらかした!」って顔するし……。犬に噛まれるみたいなもんさ」
なるほど。犬に噛まれるのは運次第。言い得て妙だね。
翅も飄々としていて、柊真への憎悪など微塵も感じなかった。みんな、あの状態の柊真に耐性があるらしい。
柊真を追いかけた眞己。いつもの階段でうずくまっている。
「大丈夫?」
言葉に迷いながら眞己が声をかけた。柊真も晋吾から一発デカいのを食らっているんだからあながち間違いではないはずだが、なんだか的外れな言葉に思えた。
「翅は、どうだった?」
「大丈夫だよ。晋吾が保健室連れてった」
「……そうか」
狭い階段の真ん中に座る柊真の横にケツを置こうとして、そのケツで柊真をつつく。なんだよ、という顔をしながら、柊真が横にずれる。
二人で横に座ると狭すぎて、半身が全部密着した。その体温に安心したのか、柊真は「ふう」と息を吐く。
「おれ、たまにああなっちゃうんだ。頭が真っ白になって、殴っちまう。おかしいよな。……晋吾たち、何か言ってたか?」
「犬に噛まれるみたいなもんだって」
「いぬ……?」
柊真は無表情で固まった。
「何がきっかけになるとか、わかんないの?ほら、さっきみたいに「殴ってみろよ」って煽られた時だけ、とかさ」
「それがわかれば苦労しないよ」
柊真はそう言って膝を抱えた腕に顎を乗せた。
「じゃあ本当は、ほかに殴りたい相手が居るのかな?」
眞己が言うと柊真は顔をこわばらせた。それでは肯定と同じだよ、と眞己は口角を上げる。
「殴りたいけど殴れないから、殴れる相手に手をあげてしまうんだ」
しばらく沈黙した柊真は「……そうかも」と言って自分の両膝に顔をうずめる。
「じゃあさ、おれにしなよ」
「なにが?」
「おれを殴りなよ。殴られ慣れてるし」
「馬鹿言え。おれが眞己を殴ってどうするんだ」
おまえを殴れるかよ、と悲しそうな目をする柊真に眞己はわらう。
「他人を殴って迷惑かけるよりマシでしょ。それに、相手がおれだったら手が止まるかもしれないじゃん?だって柊真、おれのこと大好きだし」にやにや
「なッ、何言って、……」
一瞬照れた柊真はすぐに黙り込んだ。この案に希望を見たのだろうか。
「ね。もう殴らなくても済むのなら、その方が良いよ……
眞己は柊真の握り込まれた手に触れた。
おわり。
むかし書きたかった二期捏造話とネタかぶりした…………(いつか完成させたかったが…もうこうやってメモ書き状態ででも晒そうかな…)