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    HaiNoYuki

    @HaiNoYuki

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    HaiNoYuki

    DONE六太が街に出るとき、初期はアニメ万里景麒のような服装だったらいいな、から始まって、その服装でロングイヤリングしてたら最高に可愛い、っていう着地をした妄想。

    つまりは、尚隆と六太のデート話。
     出店のある広途(おおどおり)は人が盛んだ。荷を積んだ馬車が轍を進む音が聞こえると同時に、人混みが左右に割れていく。押されるようにして隙間に身を滑り込ませると、いらっしゃい、と声がかかった。尚隆が視線を上げると、宝飾店の店主が微笑んでいる。温和そうな年配の男だった。
     このご時世、まだ宝石を身に付ける程の豊かさはこの国には無い。尚隆はそう思っていたが、宝飾店の品揃えは想像以上に豊富なようだ。いささかこの通りには似つかわしくない格式高い品の数々は、素人目にもこんな場所で需要があるのかを心配する程にきらびやかに見える。
     並べられた商品のひとつに尚隆の目が止まった。小さな赤い石の連なった耳堕(みみかざり)。錫の台座が鈍く光っている。
    「それ、欲しいの?」
     目敏い連れが、尚隆の視線に気付き声を上げた。振り向くと、身長の低いその連れ──六太が、普段よりも幾分か顔を高くして尚隆を見上げている。目立つ鬣を隠すために上套を深くかぶっているので、視界の確保の為に苦戦しているらしい。
    「美しい細工だなと思っただけだ」
    「ふうん?」
     六太自身は特に目新しいものは見つけられないようで、商品を端から端まで 1268