救われる「これは何かの間違いなんだ!俺は何も悪いことなんてしてないんだ!」
「はい」
悪魔は木の椅子に腰掛けながら膝をガタガタと揺らす。そうして片手を胸に当てるといかに自分の主張が正しいかを力強く訴えた。
「暴力なんてそんな恐ろしいこと…俺はやってないんです!俺は妻を愛していました…誕生日には花を贈ってやりましたし、彼女が困らないようにキチンと仕事だってしていたんです!」
「はい」
身なりの整った汚れひとつないスーツを着た悪魔は、目の白い部分が黄色く濁っている。
これがこの悪魔の本来の姿なのか、はたまた興奮からくる状態変化なのか検討がつかない。
「大体暴力やDVというものは一方的なものです。ただのストレスやエゴの発散です。そんなもの俺がするわけないんです!俺は妻を愛している。それは今も変わらないんです!」
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