いつも通りの聖なる夜に がたり。窓が無遠慮に開き、肌を刺す冷たい風が部屋の中に雪崩れ込んだ。窓からの侵入者が顔を覗かせると部屋の中に積まれていたプレゼントの山も雪崩を起こして崩れていく。
「メリー……メリー、なんでしたっけ」
「メリークリスマスですよ。こんばんは、ミスラ」
「メリー、くりすます。賢者様」
真っ赤な衣服に身を包み、サンタになり切った--と本人が思っているだけの--ミスラは投げやりで舌足らずな挨拶を交わし、土足で晶の部屋に踏み入った。
嗚呼、と晶が嘆く。じとりと睨んで不満を露わにした。
ミスラは晶を見て、それから自分の足元を見て、それを何回か繰り返したのち、足に手を伸ばして靴を脱ぎ捨てた。それならばよしと晶は表情を緩めて、聖なる施しの魔法使いを歓迎した。
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