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    ΦωΦ゛

    @catea_0c0

    ほぼ二次創作用。
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    レイチュリ書いてた時に没にした部分が思ったより溜まってたので晒し。

    🗿🦚ちりとり🧹⸒⸒「カンパニー花形部署の総監が狭いアパートで暮らしてたんじゃ、部下のモチベーションに関わるからね」


    「それって口説いてるの?」
    「そんなふうに挑発するのは相手からそうだと肯定されても臆さない時だけにしろ」


    「あのドリンクは恋人同士がお互いに飲むことで効果を発揮するようだ。恋愛というのは二人で盛り上がるものだから当然だろう」
    「ストローが二本あったのはそういう……。というか分かった上で僕ひとりに飲ませたのか君は……」
    「……飲んでも良かったのか?」


     あまり言うと逃げるだろう


    「冷静になった時に自分を嫌いになりそうな言動をしてしまう前に水を飲んで寝ろ」
    「……もう手遅れかも」


    ここで彼の名前を出してしまうのはさすがに気が引けた。こんなくだらないことで彼の名声に傷がついたら忍びない。


     おかげで初対面の男に金で買われてドリンクを買うためにキスをされるなんて荒唐無稽な経験をする犠牲者を出さずに済んだ。目の前の相手に興奮するのなら冗談でもトパーズに声をかけられない。


    「これを飲んだ人は無性に愛を叫びたくなったり、興奮を抑えられなくなったりするみたいだけど君なら最悪の場合でも僕に後れを取るなんてことはないからね。信用してるよ」


    「それは口説き文句のつもりか? あまりそそられないな」
     つまらなさそうにレイシオがグラスに視線を落とした。それが何故だか頭に来て乗せられてしまう。
    「それならこれはどうかな? 僕の部屋のバスルームは広くてゆったりしているよ。広い窓から朝日が差し込むバスタイムはきっと君好みなはずだ」
     僕は入ったことがないから分からないけどね、と付け加えるとレイシオは顎に手を当ててふむと頷いた。思案顔にさせられて気分がいい。
     水と会話のおかげで頭が冷静さを取り戻し始める。振り返って、先程までレイシオが座っていた席を見れば女性はいなくなっていた。
    「君こそ、こんな所で何を? 石膏頭はどうしたんだい? 素顔を晒しているなんて珍しい」
    「先程まで資金集めパーティに出席していたせいだ。非常に不本意だが、素性を隠していると出資を渋られる」
     レイシオは心底うんざりした様子で呻いた。
     知性と品のある顔立ちの利用価値がどれほどのものかは自分でも理解しているのだろう。
    「災難だったね」
    「全くだ」
    「てっきり、さっきの女性とのデートでもしていたのかと思ったよ」
    「ふん、興味があるのは論文の内容よりも僕だったらしい。論文を読み込んで話を合わせられるだけ幾分マシだったが。君はそんなくだらない事を考えながらこんな場所から眺めて酔いつぶれていたのか? 正面から見れば僕がどれだけ帰る口実を求める表情をしていたかよく分かっただろうに」
     それは目の前に出て行って攫ってしまっても良かったということだろうか。どの面下げてそんなことを。
     レイシオが「そんな事より」とつまらない話題を切り替える。
    「部屋の鍵は? 失くしていないだろうな」
    「失礼な。すられるようなヘマをするほど酔ってないよ」
    「スリに遭っても相手の懐が潤って良かっただのと言い出しかねないだろう」
     得意げにマジックのようにルームキーを取り出してみせると、手首を捕まえられた。レイシオはそのまま立ち上がると手を引いて歩き出す。
     手首を握る手はやんわりと、けれど引く力は強くて思わずたたらを踏みながら背中を見上げる。
    「ええっ、ちょ、レイシオ? どこに行く気だい?」
    「君の部屋だが? 朝日が差し込むバスルームを自慢したのを忘れたのか?」
    「そんなので口説かれるのか!? チョロすぎて心配になるな」
     エレベーターに放り込まれてようやく手を離された。
     この男がバスルームの自慢ひとつで部屋までついてくるなんて知れ渡ったら大変なことになりそうだ。あまりの風呂好きっぷりに呆れてみせるとムッと顔に皺を寄せたレイシオは大きな一歩で距離を詰めてくる。

     革靴が床を叩いて、濃紺のスーツが迫る。その威圧感に後ずさりしても、その分を一歩で詰められる。
     ほとんど真上から見下ろしてくる男がするりと手首を撫でてきて、びくりと肩が跳ねた。
    「そう怯えるな。僕の機嫌が少し良いくらいで、あとは何も変わらない」
    「変わらない? 本当に?」
    「ああ。僕はひとりで風呂に入るし、後日訪ねたら君はもうここにいないだろうことも想定済みだからな」
    「それでもいいんだ」
    「僕の頭の占有率がハッキリしただけで今は十分だ」
    「ふうん……。歯磨きとフロスをするあいだは隣にいても構わないかい?」
    「好きにしろ。僕もそうする」
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