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俺たちもう終わりにした方がいいと思うんだよね。と、趙は目の前の相手に澱みなく告げた。
場所は飯店小路の佑天飯店の目の前で、陽は沈み辺りは闇が立ち込めていた。サングラスを介して目の前に立つ春日は、その綺麗な目を揺るがせて唇を一文字に閉じる。
今日一日、趙は春日にサヨナラを匂わせて過ごしてきたつもりだ。春日も明らかにいつもと異なる趙に最初は戸惑いを覚えつつも、その趙から発するそこはかとない忌避感を少しずつ受け入れ、徐々に昔のような《ただの》仲間のような距離を取ろうと努めていた。極め付けは解散場所だ。いつもは危ないから〜もうちょっと一緒にいたいから〜と色々理由をつけては必ず春日の家まで送るのに、こんな趙の根城に近いところでの解散を選んで、しかもこんな衆目に晒される道の真ん中で別れの言葉を発する。終わりにしたって、あまりに優しさの欠片もない。
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