星空エトランゼ はっと狐が目を覚ます。
先程まで自分達を押しつぶさんばかりに広がっていた異様な宇宙は今は無い。代わりに星座図鑑で見るような星空がプラネタリウムのドームに映し出されている。意識を失う直前まで座っていた座席に、無事に戻ってこられたようだ。
ほっとしたのと同時に、狐は座り心地の良い座席にずるずると沈んだ。
あぁ、またこういう系かぁ…。戻れて良かったぁ…。
安堵と疲労の色が浮かぶ顔を両手覆う。カチカチっと眼鏡のフレームに硬いものが当たる音がした。何だっけと両手を顔から離すと、紺色のリストバンドの星型のチャームが目に留まる。二つ並んだ石を見てふっと思い出した。
そういえは、暁さんは?
狐が視線を巡らせると、そう離れていない場所に雨雲色をした頭を見つけた。小さな体が座席に深く沈みすぎている。まるでようやくチャイルドシートに座れるようになった子どものようで、狐は思わず笑ってしまう。
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