タイトルはまた今度男は1人の男に恋をした。
価値を求める男に庇護欲が湧いた。
自分には見せない笑顔に悔しさを感じた。
いつかその笑顔を見せて欲しい。
男はどんどん貪欲になっていった。
相手の男はずっと笑顔を見せないままだった。
男は夢を見た。
片思いをしている相手がそこにいた。
チグリジアの花が咲いている庭園の中心に座り込んでいる相手の男は、誰がどう見ても綺麗に違いない、と男は思った。
名前を呼ぼうとしたが、声が出なかった。
男は夢から覚めた。
夢の内容はうろ覚えだった。
何か大切なことを忘れた気がした。
まぁ、どうでもいいか。と男は思った。
男は価値を求めた。
できる限りの努力をした。
魔法も時間はかかったが、使いこなした。
兄にはどうしても勝てなかった。
価値が欲しい。男は泣いた。
男は愛を求めた。
両親は出来のいい兄を愛した。
俺には価値を求めた。
ある晩、男の食事だけ無かった。
男は絶望し、世界を恨んだ。
男は成長した。
背は伸び、声も変わり、筋肉質な体になった。
男はトップクラスの成績を取り続けた。
兄には勝てなかった。
男は恋をした。
妹の為に何でもする勇気に惚れた。
素直になれなかったが、認めてくれたのが嬉しかった。こいつは違うと、本能的に思った。
男は夢を見た。
何故か疲れた気がした。
花がたくさん咲いている庭園の中心に座り込んだ。
花は、男の本音だった。
これが俺なんだ。と男は花を愛した。
愛を送っても、返ってこないとわかっていたはずなのに。
男は夢から覚めた。
気持ちがいい朝だった。
授業が全て終わった放課後、惚れた相手の男に話しかけられた。素直になれず、少しキレてしまった。
悲しそうな顔をしていて、自分の心が罪悪感で埋め尽くされた気がした。
男は愛されたかった。
男は価値を認めて欲しかった。
男は、、、
パタッと音を立ててワース・マドルは小説を閉じた。放置しすぎると恋人が不貞腐れるから。
「何を読んでたんだ?」
「小説。最近ハマってるやつ」
「タイトルは?」
『』
チグリジアの花言葉 「私を愛して」「私を助けて」