Journey別れを惜しむ村人たちに別れを告げたトキは、その存在に気が付きふと立ち止まった。
トキの目の前。ぶるる、と頭を振る馬に掛けられた手綱を握り、トキを真正面から見つめる男がいた。
「リュウガ」
トキが男の名を口にすると、男は瞬きでトキの声に応える。
リュウガ。乱世を治める戦いの中で、幾度となくトキの背を守った、天狼の星の元に生まれた男。
端正な顔を持つ男は、ゆっくりと口を開いた。
「行くのだろう」
リュウガの言葉に、トキは小さく頷く。
未だ各地で混乱が続いているであろう世界。人々の心を癒やすのもトキの宿命。
その定めの元、トキは村を発ったばかりだった。
「俺も行こう」
リュウガが続けた言葉。それは、馬が二頭待っている時から、薄々トキは勘づいていた。
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