every day is a special day 見上げると、マンションの部屋に灯りがついていた。
あ、至さん帰ってきてる。
嬉しくて、自然と早足になって、エレベーターが降りてくるのも待てずに階段を5階まで駆け上がる。
「ただいま〜」
玄関を開けると夕食のいい匂いが漂っていた。
「おかえり。ごはんできてるよ」
「帰り早いの珍しいっすね……ってすげえごちそう!これどうしたんすか?」
「ふふふふ」
至さんがレードルでぐるぐるかき混ぜている鍋からは、ほかほか湯気が立っている。
グリーンサラダに生ハム、スープ、バゲット、アルミホイルで包まれたものは大きさからいってステーキだろう。
正直な腹の虫がぐぅっと音を立てたところで「ん?」と思った。
至さんがキッチンに立つのも稀なこと。なのに料理をしている。
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