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    フォロワさんの「髪染めた後、シャンプーより乾かす時のほうが色が移る」という呟きを見て勢いで書いた荒鳴(荒大学生だが謎時間軸です)
    相変わらず、方言めちゃくちゃです。すいません。
    サラッと何も考えず読んで貰えたら嬉しいです!

    よーなん金城目線。

    ※🎂🎊の我が先生へ捧ぐ…❤🐺🐯❤

    赤い指先/荒鳴「ねぇ、荒北くん、その指どーしたの?けが?」
    「絆創膏とか、あるよ?いる〜?」

    2限目の講義、昼食前で皆の集中力も削がれ始めた講義終了間近、そんな声が聞こえ、横に2つ離れた席に座るその男に視線が向く。

    「ぁ?指?」

    どうやら本人もなんの事やら気がついていないようで、自身の指を確認している。
    角度的にこちらから指先は見えないが、男の口から小さく「あっ」という声が聞こえた。

    「ダイジョブ、ケガじゃないから〜、あんがとネェ」

    声をかけてくれた女性に対し、ヘラりと笑い、礼を言う。

    言葉や態度が粗暴で敬遠されていると思われがちだが、この男、意外にも女性に対してこうして笑顔を見せたりきちんと礼を言ったりと柔らかな部分も持ち合わせている。

    しかし、そんな部分を持ち合わせているとはいえ、
    普段から関わっているようには見えない女性に対してこんなにも緩んだ顔で返事をするのは珍しい…

    そんな事を考えながら一通りのやり取りを眺めていたら、いつの間にか講義が終了し、皆が各々昼食へと向かい始めていた。

    「荒北、今日は昼飯どうするんだ?」

    「ん?学食ゥ」

    「そうか、俺もだ、一緒に行こう」

    ガヤガヤと賑やかな学食でそれぞれ昼食を買い、
    いつの間にか定位置のようになっている学食の外階段に座る。

    いただきます、と挨拶をし箸を手に取る。
    先程の会話のせいか、ついその指先に視線が向く。

    「荒北…その指……」

    3口くらいで無くなってしまうのでは?という程大きな口でうどんを頬張る男に声を掛ける

    「ん?あぁ、コレぇ?」

    男は箸を持ったままの手をヒラヒラとさせる。
    その指先は……
    何故か赤くなっていた。

    「!?……け、怪我ではないんだよ、な?」

    これは女性たちが心配して声を掛けるのも頷ける。

    「ハハッ、ケガじゃねーヨ、色が付いちまってるダケェ」

    「色が…?」

    「そぅ、朝ウチのカワイ子チャンを、トリミングしてカラーしてェ、乾かしてたら、このザマヨ」

    指をヒラヒラさせなが、舌を出し呆れていますヨといった表情を大袈裟に作っているが、自身の赤くなった指を見るその視線は、直視し難い程柔らかく、見ているコチラが恥ずかしくなってくる。


    「なるほど、でも、少し意外だな。荒北はそういった事も自分でやるとは」

    「んー、アイツはトクベツゥ」

    「その様子…溺愛、といった感じだな」

    「…まぁな」

    そう言って二ッと笑うと、赤い指先は再び大きな口へうどんを運んでいく。


    自分もA定食のおかずを口に運びながら、男が溺愛するカワイ子チャンとやらの姿を勝手に想像する。

    トリミング…確かご実家で犬を飼っていると言っていたか。
    アドレスにも名前を入れていたな…そう思い出し、
    あんなに機嫌良くなるほどとは、よほど…
    などと考えていると、学食の人混みの中から
    最近ではスッカリ聞きなれてきた広島弁が聞こえてきた。

    「おーーーい!金城ぉ!アラキタァ!
    学食の入口に派手なンおったけぇ連れてきたでぇ」

    「あ!アラキタさん!と、しゅしょ…やない、金城さんもおる!ごぶさたしてますぅ!あっ、ヒロシマの人、連れてきてもろておおきに!!」

    「な''!?」

    吃驚した声とカラカランと箸の落ちる音。

    そこには、チームメイトの待宮、そして…怒涛の勢いで畳み掛けるように話す、聞きなれた関西弁。
    そして、見慣れた赤い……ん?赤……?

    ほぼ無意識に、
    先程までうどんを掬い上げていた赤い指先に視線が向いてしまった。


    「あ、アラキタさん!これ!忘れもんですよ!!使うって言うとったタオル朝染めてしもたのに、別の持っていかへんかったやろ?だから、新しいの持ってきましたよって」

    早口に告げながら、青い…
    そう、今、彼らの頭上に広がる大空のように青い…
    そして、
    固まる男の顔と同じくらい青いタオルを差し出しながら、

    染めたばかりなのだろう根元から綺麗にキッチリ真っ赤な髪をした後輩が、ニコニコと『偉いやろ?褒めてもええで?』という眼差しで男を見ている。



    「あぁ……」


    なるほど。


    その声にビクッと反応して、ギギギッという音がしそうな、錆びたギアを無理やり動かしているかのような動きで、青ざめ固まっていた男の顔がゆっくりとこちらを向く。



    バチッと目が合う。







    「フッ……カワイ子チャン…か……」

    「……テッメッッッ!クッ!!アァァァッッッ!!!!!」


    「なんですか!?突然叫んでどないしたんですか!?びっくりやわぁ…やめたって下さいよ……」

    大丈夫ですか?と心配そうに覗き込む後輩と
    声にならない声を上げて頭を抱えてしまったチームメイト。



    ペットの話と見せかけて散々惚気けた後の
    カワイ子チャンのご本人登場。

    焦りと羞恥で言葉にならない雄叫びを上げる。


    うん。これはこれは……。

    自分だったらこの場から逃亡していたかもしれない、と
    眼鏡を外し、何故かスーッと冷たく流れ出る汗を拭う。


    チラと男を見やると、八つ当たりか、心配して覗き込んでいた真っ赤な髪をグシャグシャとこねくり回しながら理不尽な怒りをぶつけ、言い合いをしていた。
    「なんで今!来んだよ!」
    「はぁ!?なんすかソレ!親切心やないですか!」
    「あんがとネェ!でも!今、は!クソッ」
    「なんなんすか…今朝は」「おい!ヤメロォ!」「なんや分かりませんけど、イヤですわ!」「いやマジでぇ」





    そんな様子もなんだが微笑ましいと感じてしまうのは、

    その男の顔が、指先の赤より、染めたての赤髪より、
    見事な赤色をしていたからだろうか。





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