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    支部にあげた小説「これを愛と呼ばずして」https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22220325
    の初期プロットの供養です。初期プロット故、時系列がごちゃごちゃだったりします。

    自己犠牲水初期プロット「夏になったらお母さんを掘り起こしに行きましょう」
    「鬼太郎……それが……今の貯蓄だとちぃと余裕が無くての……」
    それを聞いてしまった水木 今の収入だと3人暮らしていくのがやっと
    本物の親子3人で居られた方がいいよな、でもこいつらを養っていかなきゃならないし、と悩む水木
    ちょっと危険な仕事や枕営業を増やしても今の生活は潤うけどなかなかもうひとり増やして良いにはならない
    そんな折、危険な仕事の関係で、「死人を呼び戻せる」という業者がいることを知る
    実際、そういう噂が出回って、死んだはずの人を見たという話もある
    興味が勝って探しに行く水木 その実は地獄で働く獄卒?魂の管理者?で、地獄にいた魂をちょろまかして人間界に戻し、収入を得ていた 地獄にいる人しか戻せないためアングラなことにしか使われないし収入も高い
    そいつは水木を見つけると驚いて「あ……んたみてぇなやつが何故おいらを!?!?」「まさか蘇らせたい人が居るのかい!?」コイツは噂の人間!どの妖怪も喉から手が出るほどコイツを欲しがってる。
    「興味本位だ。……幽霊族の女性なんだが、復活させることは出来るだろうか」
    「ゲェッ、幽霊族……」
    「あと、目玉だけになった幽霊族の男の身体を取り戻したい」
    「うっわァ……誰がそんな面倒なことをするかって……いや、待てよ」「分かった。アンタのカラダと魂と引き換えなら良いぜ」
    「……?なんでそんなものを」
    「そんなものだァ!?アンタ自分の価値がわかってねぇようだな!妖怪の血を浴び混ざりながらも人間であり続ける肉、邪に正しく反応を示す清の御魂……」「今アンタの存在は!ほとんどの妖怪が喉から手が出るほど欲しがってるモノなんだよ!!頭の先から魂の尾までぜーんぶな!」
    「なんだそれは……」「……つまり、俺の存在が結構な値になるってワケか」
    「そりゃもう、幽霊族の男女を取り戻しても釣りが来るどころの話じゃないねぇ」
    「ちなみに額にするとどれくらいだ」
    「値なんて付けらんねぇよ」
    ふむ、と唇に手を当てる水木。
    「ならばこれこれこうしてこうすると」
    「なんですかいこりゃ」
    「その幽霊族の男女に渡す人間の金だ、俺が売れた額からこのくらい……いいやもう少し多めに渡すことはできるか」
    「こりゃ結構な額だな。数十年は満足に暮らしていけそうだ。まあそれでも、アンタの身の価値に比べたら」
    「本当に俺の身体にそんな価値があるって言うのか?俄には信じ難いな」
    「その辺の妖怪とっ捕まえて聞いてみな、『俺の身体いるかい?』ってな。間違いなくその場で襲われるだろうね」
    「今までそんな目に遭ったこたァねぇぞ」
    「そりゃぁ旦那、そうでしょうよ。アンタ幽霊族のお気に入りなんだろ?迂闊に手ェ出したらどんな目に遭うか」
    なるほど、どうやらゲゲ郎や鬼太郎に知らぬうちに守られていたらしい。
    「どうします!?旦那!?!?」
    「……検討しとくよ。どうすればまたお前に会える?」

    ある時目玉と水木がちょっとした事で喧嘩しちゃって目玉が「はぁ、……妻がおればのう」と呟く
    その言葉と先日の出来事が水木の中で繋がってしまった。今なら連れ戻してやれる。そうだ、奥さんがいれば、こんな不毛な争いもなかったかもしれないし、彼女やゲゲ郎が望むままに鬼太郎を育て幸せに過ごしていたはずだ。
    目玉の言葉に返事しないでその場を離れた。その足で例の妖怪のところに行った。

    (奥さんとゲゲ郎の身体を地獄から呼び戻すまでの間、人質のように片腕を繋がれる水木。そんなことをしても逃げないのに。
    家族が復活して、今まで3人で暮らしていた家に夫婦が寝ているのを見る。夫婦が起きるまではきっと見ていられない。
    この家も、もう鬼太郎たちのもの。それでいい。こうして整理してみると意外と自分のものは少なかった。
    ふと、戸棚の上に、いつだか目玉と鬼太郎と水木で撮った写真があって思わず見つめた。これがあればもしかしたら時々でも思い出してくれるかな、とか、ちょっとだけ考えてしまって。
    だから、持ち去った。
    起きたら彼らはどう思うだろう。
    例の妖怪が迎えに来て、水木は振り返らずに地獄に落ちた。
    オークションにかけられる。世にも珍しい人間だよ、食えば千年の力が得られる。全身ならこの値段、小分けにすればこの値段だ、どうだい。血でさえ高値がつく。妖怪たちは大盛り上がり。腹の腑を、指先だけでも、指の一本一本をぶちっと引き抜かれて。声を頂こうと言われて絶叫する声も無くなった。欠けた耳は最後の方まで残された。わしは右目をと言われてくり抜かれた。身体がだんだん無くなっていく。足を、腿を、心の臓が本当に高くて、じゃあ私は左目を頂こうかしら。
    あれよあれよという間に水木の身体は売れた。売れないところがなかった。閻魔大王がどこかで呆れたようにため息をつく。
    「全く、本来地獄にあるべきものを勝手に戻しおって。本来ならば禁忌とされておる。罰は受けてもらうぞ、人間」
    引き裂かれた水木の身体はそれぞれ舐められたり食われたり玩具にされたり。その全部が水木に伝わっていた。水木の意識は地獄に行くこともできず、どこかに居着くこともできず、安寧の地もないまま、細切れにされた全部の苦痛を受け続ける。)

    令和の世で親子3人平和に過ごしている。鬼太郎は独り立ちして妖怪ポストをやっている。母のように人と妖怪の間に立ちたいと
    そんな中父がたまたま蛇女?の家に訪れる。彼女も人間界に適応しながら暮らしている。彼女の家には目玉が飾られていた
    「何ぞ、珍しいものを飾っておるのう」
    「幽霊族にも関係してる世にも珍しい逸品よ。貴方を迎えるのに相応しい装飾品だと思ったの」
    「わしらに?」
    「何だったかしら、確か、幽霊族の血を浴び混ざりながらも人間であり続ける肉、邪に正しく反応を示す清の御魂、って売り文句だったような。何せ買ったのが七十年以上前だから記憶が朧気でね」
    「幽霊族の血を?聞いたことがないのう」
    「そう。旦那さんでも知らないなんて、あてが外れたわね」
    話は逸れて家族のことへ。妻は相変わらず人間の世界に馴染んでいてうぇぶでざいなーというのをやりながらカフェやレストランの評価をぶろぐに書いていてなかなか人気だとか、鬼太郎はつれないが母の後を追って妖怪ポストなるものをやり、人と妖怪の間に立とうとしているだとか。
    その話を聞き終えて、鳥かごに飾ってあった目玉がボロボロと泣き出した。
    「あら」「涙腺は残っていないはずだけど」「もしかしたら、この目、水にまつわる人間だったのかもしれないわね」
    ちょうど自分たち家族に関係することで涙を流したように見えてなんだか気になってしまう父。
    「人間の目玉と言ったな」
    「そうらしいわよ。七十年以上前に売りに出されていたの。全身買おうとするととんでもない値段がついたから、みんな指だけとか、目だけとか、細切れにして買っていたわ」
    「そんなに高い人間じゃったのか。しかし細切れとは、それだけで価値があるものか」
    「それこそさっきの売り文句ね。爪の一枚だけで相当力を得られたみたい。ほら、覚えてない?六十年くらい前、妖怪たちが力をつけて人間に戦争を挑もうとしたのを」
    「わしと妻でなんとかおさめたあの件じゃな。まさかあやつらも?」
    「そうよ、みぃんなそれぞれその人間の一部分を買って力をつけたの。だからあんなに血気盛んになっていたのよ」
    「確かにあの者たちは自分の身に余るほどの力を持っていたのう。少々荒事になってしもうた」
    「さすが幽霊族の夫婦だったわね。見事に戦争を防いでみせて」
    「そなたに褒められるとは、悪い気はせんのう」
    「うふふ」
    「それにしても、あの戦争の引き金になった人間か」
    「あの目、今も見えてるのよ」
    「どういうことじゃ?」
    「閻魔様からの罰なんですって。身体が細切れにされた後も感覚を残してる。痛みも苦しみも暑いも寒いも全部感じてるそうよ。生きてるってこと」
    「それは、なんとも……」
    「旦那さんたちが戦争を防いだとき、ちょっとしたケンカになったんでしょう?そのときの痛みもあったのかしら。ねえ?どうだったの?」
    目玉に聞くが答えは無い、ぽた、ぽたと涙が流れ続けている。
    「まるで拷問じゃの。よほど酷い罪を犯したんじゃろうな」
    「なんだったかしらねぇ。禁忌だったらしいけど」「そうだ、旦那さん。これ貴方にあげるわよ。私は十分舐め尽くしたから」
    「蛇女お気に入りの目玉、幽霊族の血が交じった人間の目玉とな」
    ふうむ、と唸る。正直人間の目玉には全然興味が無いが、なんとなくこの目玉を放置することも出来ない。もらってふらふらと帰った。
    持って帰る間も目玉はぽたぽたと涙を流している。「そんなに泣くでない、世の中悲しいことばかりでも無いんじゃぞ」
    それとも、今も身体のどこかが痛んでいるのか。しかし蛇女によればこの七十年間この目玉が反応を示したことは無かったらしいが。
    ぷらんぷらんと鳥かごを揺らしながら。
    「のう、お主はどんな人間だったんじゃ。わしの倅は人間とも仲良くしておるのじゃ。わしの妻も人間の中で仕事をしておる。お主もわしの家族と仲良くできると思うぞ」
    にこにこ笑う父。目玉はもう泣いていないが、ぷらぷら揺らされている。

    目玉を狙った妖怪たちに襲われる父。妖怪たちは水木の身体を集めており、尋常でない力を秘めていた。苦戦し、このままでは妻や鬼太郎にも危害が加わると思って目玉を食らう父。さらに力をつけた父にかなわぬと悟り、妖怪たちは口惜しげに逃げていく。髪が黒に染まる。髪の黒と瞳の赤、まるで地獄の火炎のよう。

    妖怪たちを追い払って、父は呆然と立ち尽くす。腹に納めた目玉、その持ち主の記憶が流れ込んでくる。
    「…………あ、ぁ」
    わなわなと震える。今食ったこの目玉は、これは。
    「…………みずき…………ッ」

    水木の回想をここで挟むか


    記憶を封じこめていた。妻と息子に再び出逢えたことが嬉しくて、幸せで、辛い記憶を無理やりに忘れていた。その中で、ただ唯一であった友のことも忘れて。身体復活のときに記憶が捻じ曲がった(これも閻魔から水木への罰かな。いなくなったことを偲ばれることすら禁じられた)
    水木、お前は恨んでいるだろうか。怒っているだろうか。息子を育てた恩にも報いずあろうことかそれをすっかり忘れて70年もの間幸せを貪った友のことを。閻魔様の罰を受けてひとり苦しみ続け、見せられたのはかつての目玉が何も覚えていないまま幸せをだらだら喋る姿だなんて、涙だって流すはずだ。悔しかったのだろう。




    お願いだ、水木、お前の想いを教えてくれ。最後にどう思っていたのか、今どう思っているのか、掠れた記憶のひとかけらでもいいから教えてくれ。
    声は既に奪われてしまっていたから、父に伝わるのは声なき思念のみ。人魂を手に乗せる。伝わってくる。
    『…………どうか、しあわせで』
    苦しい、辛い、解放してくれ、そんな願いならどんなに良かったか。
    そんな願いなら、きっと父はこの人魂を完全に無に返すことができたのに、
    『どうかこのさきもお前たちがしあわせでありますように』
    ただずっと鬼太郎たちの幸せだけを願う。
    擦り切れた写真の上で。もう彼の人型を示す写真はそこにしかない。友に忘れられ、肉体を失って愛する者も傍から離れ、彼にとってはたった一つの思い出だった。こうしている今も痛みと苦しみで存在をすり減らしながら。もうきっと大した思考すら残っていないだろうに、最後の最後に残ったのは、ゲゲ郎たち家族の幸せを願う想いだった。
    自分がほんの少しの間だけ育てた義息子、ほんの少しの間だけ一緒にいた親友への愛だった。

    実際、身体を取り戻してゲゲ郎たちは幸せに暮らした。間違いなく幸せだった。
    だからこれは、完全な蛇足。ハッピーエンドには要らない後日談。幸せには邪魔なものでしかない。家族3人が幸せになる世界には別に人間ひとりいようがいなかろうが関係がなかった。
    その証拠に、この70年、幸せな時間に水木という男が入る余地は全く無かった!
    分かっている、ここで大人しくこの人魂を無に返すことが一番良いのだと。この人魂をこれ以上苦しめずに済むいちばん良い方法なのだと。
    それでも。
    それでも!!
    「…………嫌じゃ」
    人魂を手に抱え、
    「嫌じゃ、水木。危うく諦めるところじゃった」「わしの諦めの悪さは、お主も知っておるじゃろう、水木」
    「わしは諦めぬよ。皆が揃った大団円を」
















    家に帰って妻に目玉を見せた。目玉は妻の姿を見てまたぼろぼろと泣き出す。まだ生きているのだと言うと、「可哀想に」と妻は言った。
    「まるで拷問みたい」
    「禁忌を犯したらしいが、詳しくは分かっておらぬのじゃ」
    「六十年くらい前に倒した妖怪たちが持っていたのよね、このひとの身体。言ったら返してくれないかしら」
    「集めるのか?人間の身体を?」
    「このひとがどんな罪を犯したかは分からないけれど、まだ涙を流せるひとではあるのよ、きっと」
    ふむ、と父は頷く。「では閻魔大王に聞いてみるかの」
    「このひとがどんな罪を犯したかって?」
    「それを聞いてから判断しても良いじゃろう?」
    「教えてくれるかしら」
    「なあに、それこそ六十年前の恩を売るときじゃ」
    そのとき、たまたま鬼太郎が家に寄った。鬼太郎を、鬼太郎と話す妻を見て、目玉は鳥かごから溢れるくらいに涙を流した。
    (もう、いい。もう幸せだ、身に余るくらい。)
    その涙が温かくて、やはり放っておけないような気持ちになってしまった。

    次の日、閻魔大王に目玉のことを聞きに行く父。ああそやつか、と苦々しい顔。
    「刑期は、あー……あれから七十年か」
    「覚えておられるのじゃな。この人間が犯した罪とは何なのじゃ?まだ償わねばならぬほど重い罪なのか」
    あー、んー、と迷った様子。
    「……死んだ者、喪われたものを蘇らせた」
    「成程、それで禁忌と。しかしそんなことが人間にできるのかの」
    「番人を買収したのじゃ、言わせるでない」
    閻魔大王の管理不足も問われるところだ。確かにあまり言いたくはないだろう。


    「主にも関係のあることじゃ、言えるか」
    「……?わしにも?わしには人間の知り合いなぞおりませぬぞ」
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