こたつ寒さが本格化してきたある日のこと、ネフィのおかげで見違えるほど綺麗になった玉座の間に、異質なものが置かれていた。普段赤いカーペットが敷かれているのだが、それとは別に正方形のカーペット──冬用なのか毛足が長くふかふかとしている──が敷かれ、テーブルというには脚が低く脚と天板の間に布団が被せられているものが置かれていた。そしてその上にはなぜかみかんが積まれている。
「ザガンさま…これは?」
朝食のためにザガンを呼びに来てくれたのか、玉座の間に足を踏み入れるや否やネフィは質問をしてきた。初めて見るものなのか目を丸くしている。
「うむ。これはコ・ターツと言うものだ。冬に使うものらしい」
先日キュアノエイデスの街で市場が開かれており、ザガンがそこで見つけた品だった。店員によるとリュカオーンの技術が用いられているものらしい。
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