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    toooocl8

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    ぬかに(鰤)の100日アニバーサリーに便乗したSS。Xにもあげたもの。
    ある朝、エイトが目を覚めたときのこと。
    ※エイトの過去を少し捏造した描写あり。
    ※カップリング要素なし、使い魔二人が出てきます。

    #NUカーニバル
    nuCarnival

    Take my hand 早く大人になりたかった。
     大人になれば、自分の好きなところに行って、好きなことができると、信じていたから。
     先に貰われていく、歳の近い友達。新しい家族に不安もあるけれど、みんな嬉しそうな顔をして、きっと手紙を書くからと言って別れた。最初のうちは届いた手紙も、ぱったりと来なくなって、また、誰かが新しい家族に手を引かれていく。
     俺の番は、やってこない。
     誰か、この手を引いてくれる人は、いないのかな。
     そう思うのは、すごく、悲しくて、寂しくて。だから、そういう気持ちは出来るだけ、奥底に沈めていた。
     早く大人になりたかった。そんな悲しい気持ちで、誰かを待っているだけなんて、もう嫌だったから。


     目を覚ますと、うっすらと涙が浮かんでいた。なんだか、久しぶりに昔のことを思い出した気がする。天井は既に見慣れてきた屋敷のものだ。それをぼんやりと眺めていた。遠い昔のことのようで、つい、この間のことのような夢だ。胸の奥がぽっかりと空になったようで、大きく息を吐いた。
     あぁ、やめやめ。湿っぽいの、俺の性に合わないんだからさ。変な夢のせいかな、いつもより早い時間だ。二度寝って気分にもなれなくて、今日は何をするんだっけと考えながら布団から抜け出す。すると、部屋の扉が勢いよく扉が開けられた。思わずのけぞる。
    「おっはよーご主人様! あれ、早起きだね」
    「おはよ、ご主人様!」
     溌剌とした声と共に入ってきたのは、エスターとモルフィスだ。モルフィスはタスキとカラフルな三角の帽子を持って、ベッドに駆け寄ると俺の肩にタスキを通して、帽子を乗せてきた。俺はおもわずきょとんとして二人を見やる。
    「……おはよー……あの、俺、誕生日今日じゃないけど」
    「わかってるよぉ、ボクたちがご主人様の誕生日を間違えるわけないでしょ。今日は、記念日!」
    「記念日?」
     そうだぜ、とモルフィスはベッド縁に寄りかかりながら頷く。
    「クソ吸血鬼が数えたんだけど、今日でご主人様がウチに来て、100日なんだとよ」
    「100日……?」
     なんだっけ、そのお祝い。お食い初めとかじゃないか? 百日祝い? いや、俺赤ん坊じゃないし……。
    「毎日がお祝いっていうのもボクは悪くないと思うんだけど、やっぱり区切りがあったほうが盛り上がるかなって! だから、100日目を記念に、サプライズパーティー!」
    「毎日パーティーって、使用人たち過労死させる気かよ」
     小馬鹿にするようにモルフィスは言ってから、にこりとした笑みを向けてきた。
    「ほら、行こうぜ。みんな主役をお待ちかねだ」
    「みんなって? 誰か呼んだのか?」
    「あったりまえでしょー」
     エスターはそう言い、ほらほら早く、と二人とも俺を急かす。でも、寝癖はついたままだし、寝巻きのままだから、待ってくれと笑いながら宥める。
    「寝癖くらい直させてくれよ」
    「も〜、早く来てね! ラウンジで待ってるから!」
    「エスター、モルフィス」
     部屋を出て行こうとする二人を呼び止める。俺は二人をいっぺんに抱きしめた。わ、と二人は声をあげる。
    「俺を、喚んでくれて、ありがとな」
     二人がくすっと微笑む声が聞こえる。それから、ぎゅっと強く抱きしめ返される。
    「ご主人様が、来てくれたんだよ」
    「ありがとな、ご主人様」
    「……うん」
     あぁ、なんだかすげえ、泣きそうだ。
     今日は、みんなをこうして抱きしめよう。俺と、この世界で出会ってくれた人たちを。


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    toooocl8

    DONEぬかに(鰤)の100日アニバーサリーに便乗したSS。Xにもあげたもの。
    ある朝、エイトが目を覚めたときのこと。
    ※エイトの過去を少し捏造した描写あり。
    ※カップリング要素なし、使い魔二人が出てきます。
    Take my hand 早く大人になりたかった。
     大人になれば、自分の好きなところに行って、好きなことができると、信じていたから。
     先に貰われていく、歳の近い友達。新しい家族に不安もあるけれど、みんな嬉しそうな顔をして、きっと手紙を書くからと言って別れた。最初のうちは届いた手紙も、ぱったりと来なくなって、また、誰かが新しい家族に手を引かれていく。
     俺の番は、やってこない。
     誰か、この手を引いてくれる人は、いないのかな。
     そう思うのは、すごく、悲しくて、寂しくて。だから、そういう気持ちは出来るだけ、奥底に沈めていた。
     早く大人になりたかった。そんな悲しい気持ちで、誰かを待っているだけなんて、もう嫌だったから。


     目を覚ますと、うっすらと涙が浮かんでいた。なんだか、久しぶりに昔のことを思い出した気がする。天井は既に見慣れてきた屋敷のものだ。それをぼんやりと眺めていた。遠い昔のことのようで、つい、この間のことのような夢だ。胸の奥がぽっかりと空になったようで、大きく息を吐いた。
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