コノノイ♀にょいまんさん、コさんから貰った下着をつけるもそわそわする「あ!もしかしてそれが贈り物の下着ですか?」
ヒメコの言葉に一瞬返答が遅れる。
「――そう、だよ」
ノイマンの頭の中では贈られた当日の事やこれを着けるという事に対して色々な考えが渦巻き、ヒメコの言葉に集中できない。
「すっごい可愛いし似合うとは思いますが、確かに、ノイマン大尉のイメージではないですよね」
「確かに……この間の派手なのが趣味なことをお相手も知ってるのよね?」
「あれ着けて行った後に買ってもらってるので……」
ヒメコとマリューの頬が軽く赤くなりお互いに目を見合わせる。
「それで、これ?」
「はい……」
そこには白を基調としたレースとギャザーの多いいわゆる清楚系と呼ばれるようなブラジャーがあった。
「お相手の趣味、ってことよね?」
「少女趣味ってことですか?」
「いや……もしかしたら幼女かなんかだと思われてるのかもしれない……」
真っ赤になりながらボソリと呟いた言葉に二人は顔を見合わせて目配せした。
ノイマンの事を幼女だと扱えそうなミレニアムのクルーなど一人しかいない。しかし、今ここでそれを指摘するのは無粋だろうと口を噤んだ。
「でも、気合い入れるのにそれ着けられるんですよね?」
「そのつもりで持って来たけど……無理かもしれない……」
ノイマンが両手で顔を覆う。その耳はかすかに赤らんでいる。
とは言え、休憩終了までそこまでの時間はない。未だタオル一枚で脱衣所で立ち竦むノイマンになんと声をかけるか二人は悩む。
「艦長……今日もフラガ大佐セレクトですよね?」
「えっ?!え、ええそうだけど……」
突然ノイマンから話題を振られたマリューは動揺しながら返答する。それこそ、ノイマンではないが先日の合流時の休暇でムゥから贈られた黒を基調とした赤い薔薇の下着だった。彼はよく下着を贈ってくるためマリューの手持ちは大分フラガセレクトが占めるようになっている。
「気になったりしませんか?」
「な、何が……?」
アンダーウェアを着用しようとしていたマリューの手が止まる。ヒメコはただ楽しそうに聞き耳を立てる。
恨めしそうにノイマンは続ける。
「だって、ふとした時に相手のこと考えたりしません?」
言い終わった時には顔中真っ赤だった。
(初心だ!!)
二人は心の中でハモったが、勿論本人には伝えられるはずがない。
困った顔をしながらマリューは答える。
「考えないことはないけど、でもいつも一緒にいるわけじゃないからどちらかというと心強い、感じかしらね?」
「ラブラブですね!!」
ヒメコの楽しげな声が脱衣所中に響き渡る。
「ユリー軍曹、声が大きいわよ!」
慌ててマリューは制すがヒメコの興奮は冷めやらない。一人でキャッキャッとしている。マリューは頭を抱え、ノイマンは呆然とマリューを見つめる。
「ノイマン大尉……どうかした?」
何か変なことを言ったかとマリューは少し不安になる。
「いえ……少し、腹落ちしたと言いますか……」
その言葉通り、ノイマンの表情は少し明るくなっていた。
「ならよかったわ。じゃあ、早く着替えた方がいいわね。そろそろ時間よ」
そう言って指し示した時計はあと少しで休憩時間の終了を告げる。
「すみません!!」
ノイマンは慌てて着替えるが、下着を着けたところ一瞬躊躇う。しかし、すぐに意を決して残りの軍服を着用した。
「真っ赤ですけど大丈夫ですか?」
「正直大丈夫じゃない……」
「何かあったの……?」
「ラミアス艦長!!何でこんな恥かしい事素知らぬ顔でできるんですか?!」
「恥かしいって……」
「勤務中に思い出したのがいけないんですが、集中できなかったのでもう二度と勤務中はつけないと決めました……」