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    bon_gnki11

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    bon_gnki11

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    アスシン シン視点
    目が覚めると知らないアスランがいる話

    目が覚めると知らない部屋のベッドだった

    「…………どこだ?」

    窓から差し込む光が眩しい そこからみえる景色から推測すると、ホテルかマンションの一室だろうか

    「昨日の俺 何してたっけ」

    記憶がない、訳でもない コンパスで1日の仕事を終えミレニアム艦内の自室で眠ったはずだ
    でも今俺は知らない部屋のやたらでかくてふわふわのベッドで目覚めたので自分の記憶に自信がなくなった

    服は着てる 身体に傷もない 痛みもない
    ただ頭が痛い 酒…ではなさそうだ あと目が重たい

    寝起きであまり回らない頭で考えていると
    ガチャ、

    「!」
    ドアを開け入ってくる人物に身構えた

    「シン 起きたのか」
    「え……アスラン?」
    「おはよう」
    「おはよう…ございます…?」

    何でアスラン?ここはアスランの家なのか?
    となれば昨日の俺はアスランの家に泊まったのか!?

    「あの 俺」
    「シン、」
    「っひ!?」

    アスランが俺の隣に座ると目元を指先で撫でられた その指は優しくてまるで壊れ物に触るみたいに

    「ちょ ちょっとやめて下さいよ!」

    なんで隣に座るんだ 距離近いし
    その手を払い除けるとアスランは少し悲しそうな目をした 気がした

    「えと ここは…どこ でしたっけ」
    「?俺の家だが …シン その 昨日のことなんだが」
    「昨日 …すみません 俺 覚えてなくて」
    「え」
    「あの 俺 もう出ます」

    とにかくここから出よう
    慌ててベッドから降りて部屋を出ようとしたら

    「…待て!」
    「ぅええ!?えっ 何!」

    手首を引かれて急停止させられる
    アスランの険しい表情に肩がびくついた

    「…朝食 朝食を食べよう」
    「は はあ」

    ほんと なんなんだこの人

    --------------------------------------------

    洗面所で顔を洗った時に自分の顔をみると目が腫れていた まるで泣いたような 頭痛がするのもそのせいなんだろうか
    でも俺には泣いた記憶なんてない

    ダイニングに行くとアスランがトーストの用意をしていた
    テーブルにはやたらオシャレなサラダと桃多めのフルーツに未開封のワインまで(流石に朝食では飲まないだろうが)
    そして温め直しているであろうでかい鍋 蓋を開けると中にはロールキャベツが煮込まれていた

    「(すごい量…)」

    何人前だこれ 手作りだろうか
    アスランが作ったのか?この人料理なんてするのか
    早くここから出て行きたかったがぐぅと腹が鳴る せっかく用意してくれたんだから食べて行ってもいいか…

    「(…ロールキャベツうまっ!)」
    「美味いな これ」
    「え あ そうですね」
    「あぁ サラダも美味いよ」
    「はあ」

    確かに美味いけど 何で俺元上司の家で元上司と朝ご飯食べてるんだろ… なんか知らないけどすごい美味い美味いって言ってくるし…
    とっくに和解はしているがこんな親しい間柄でもなかったはずなんだけど

    「(何か飲もう…)」
    「シン、何か飲むか?俺が…」
    「いーですってば 自分でやります 冷蔵庫開けますよ」

    なんだこの世話焼きアスランは 変だ すごく変だ
    少しイライラしながら冷蔵庫を開けると中を見て一瞬固まった

    「(何だ これ…)」

    それがケーキ、であるのは分かる 小さなホールサイズの
    でも上部分だけ乱雑に食べたようでぐちゃぐちゃだ デコレーションケーキだろうか 何か書いてあるのが薄らみえる

    「(a …y、e……y…?だめだ読めない)」

    やめよう 分からないが少し怖い
    アスランはこれの存在を知っているのだろうか

    「シン これを済ませたら一緒に出よう 俺も今日からまたミレニアムに乗り込む」
    「そ そうですか」

    結局元上司とは離れられずこの後の仕事でも一緒のようだ

    --------------------------------------------

    今更だが随分広い家だ ベッドもダブルだったし 一人で住むには広すぎるのでは?
    そしてなぜアスランの家に俺サイズの服が一式用意されてるんだ

    「あぁ〜…もう訳わかんねえ……ん?」

    着替えていると首から何かぶら下がっている事に気付いた
    シルバーの、ネックレス…?

    「俺の…?こんなの持ってたっけ?」

    元よりアクセサリーをつける趣味もないし習慣もない 端的に言うと、邪魔だ 
    何気なくそれを外してポケットに突っ込みアスランと共に家を出た

    アスランの車は高級そうな赤のオープンカーだった ザフトレッドのようで凄くかっこいい けど何だかアスランらしくないような気もした

    「……」
    「……」

    無言の車内
    元々楽しく話す関係でもない それに話すことなんてない
    あれこれ考えるのももう面倒でボーッと景色をみていた

    「シン 昨日は悪かった」
    「…? 別に…」
    「埋め合わせはするから、」
    「だからもういいですってば」

    何のことだかわからないし
    アスランが謝るとか気持ち悪い(と言うとめんどくさいから言わない)
    オープンカーなのに息が詰まりそう アスランに聞こえないように溜息をついた

    その後は2人とも無言のままミレニアムが停泊している港へ向かった
    俺はその時車内にあのネックレスを落としてそれをアスランが拾っていたとは知る由もない

    --------------------------------------------

    「送ってくれてありがとうございました じゃあ俺こっちなんで」

    ミレニアムに着いてからは俺の知っている場所でやっと安心できた いつもの船にいつものクルーの姿
    自室で着替えてからいつも通りブリーフィングルームへ行こう アスランも自分の仕事があるだろうし やっと1人になれる

    「あ 待て シン!」
    「もー何ですか…むぎゅう!!?は はぁ!?何すんだ離せ!!!」

    今度は突然抱きしめられて混乱しない訳がない
    ハグなんて優しいものではなく背中と腰にガッツリ腕が回っている

    「やっぱり怒っているんだろ」
    「そりゃあいきなり抱きつかれたら怒りますよ!」
    「昨日のことだ!」
    「だから!昨日のことなんて覚えてないんですよ!そんなことより離れろ…ってば!」
    「シン!ちゃんと話そう!」
    「あ〜も〜 だからぁ〜!終わり!終わりにして下さいよもうっ!」

    この話を!!!鬱陶しい!!!
    これから仕事だろ俺たち!!!

    「終わり、…って おいシン!」

    もういい 無視して逃げてしまおう
    自室に駆け込みロックをかける どうやら追っては来てないようだ

    「はあぁ〜……も、何…」

    ずるずると座りこむ
    なんなんだよアスランのやつ 

    「なんであんなショック受けた顔してんだよ…」

    終わり って俺が言った時

    着替えるか…と立ち上がったときにポケットから通信端末が音を立てて落ちた

    「っとと…そういえばこれで何か分かったりするか?」

    昨日の俺と アスランの言う昨日が
    メッセージアプリを開くと1番上にアスランとのやり取りがあった

    『なるべく早く帰る』
    『すまん もう少しで帰る』

    文面的に俺がアスランを待っていた のか…?アスランの家で?どういうことだ何だそれ
    日付が今日に変わったところで俺から送ったメッセージがあった

    『大丈夫です 無理しないで下さい おやすみなさい』

    怒っているのか 悲しいのか わからない
    けどなんだか寂しそうなメッセージだ

    つづく
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