手紙に嫉妬しちゃうダニエルくんアイビーが言っていた。
また〇〇が新しいことに夢中になっているって。
一体今度は何に夢中になっているのかと思えば、フクロウ便を飛ばすことだと言う。
「こっちじゃスマホが使えないでしょそれに、誰に届くかわからないフクロウ便なんてロマンチックじゃない」なんて〇〇はうっとりしている。
「返事をくれる人もいるんだよ」
もちろんフクロウさん達にずっと手紙を届けてもらってるわけじゃないけど。
そう付け足した〇〇はにっこりと笑う。
「それ、楽しいのか」
「あまり手紙を書かないダニエルにはわからないよ。」
俺の返事にムッとした〇〇は即答で俺に言葉を返す。
「それは、…悪かった。なんて書けばいいのかわからなかったんだ。俺はお前みたいに手紙を書く才能はないし、面白い話の一つも見つけられないから。」
「別に面白い話は必要ないんだよ、ダニエル。それに、これは私の新しい趣味だから放っておいてくれていいよ。」
そう言うと〇〇はまた便箋に向かって筆を動かす。
休み時間は、そうしている時間が増えたんだ。
それがなんだかすごく…嫌だったりする。
「〇〇、次は移動教室だろ。」
「先に行ってていいよ、ダニエル。」
「おい、」
「何」
「手紙も良いけど、友達のことを放っておいてまでしなきゃいけないことなのか」
言った直後、顔に熱が集まるのを感じた。
恥ずかしいし、今すぐこの場から逃げたい。なのに、足が地面に張り付いたみたいに動けない。
「…そうだよね、ごめんなさい、ダニエル。」
〇〇はそう言うと手紙を仕舞う。
「手紙は楽しいけど、目の前のダニエルはもっと大事。行こう、ダニエル。」
「……あ、あぁ。」
〇〇は、立ち上がり俺の横に並んで歩き始める。普段通り、本当に普通に話をしながら。
ただ、俺の心は〇〇の最後の一言でいっぱいになっていた。