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    むくのき

    @muku_sakurak

    らくがきまとめ、はばかられるもの置き場
    文字多数 推敲無し‼️

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    むくのき

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    たちばなくんがさくらちゃんのオタクになるまで、みたいなもの(アイプリver) 今後推敲、書き足してちまちまたちばなくんまわりのストーリーを出していく、かも!

    P.S.たちばなくんのPCをハッキングしてさくらちゃんの映像を流したのはえのきだしブレスを送りつけたのもえのき

    プロローグ -芽吹き アイプリ。画面の向こうの、永遠の憧れ。
     キラキラと輝くその人に、初めて見たその瞬間から虜になった。

     憧れ、といっても、自分もというわけではなくて。ただ勝手に励まされて、背中を押されて。しっかり、真っ直ぐに立とうと思えた。
     こちらが一方的に感謝しているだけ。貰ったものを返そうとしているだけ。
     
     
     それは突然だった。
     母のお下がりの古いPCが、エラーを起こすのは常だ。その日もそうだった。でもそれは、何かの間違いだなんてとんでもない、輝かしい奇跡。僕は、星に出会ってしまった。
     
     アイプリバースデー。その名前は後から知った。その時は存在すら知らなくて、何か変なサイトにアクセスしてしまったのかと焦ったものだ。でもそんなことがどうでも良くなるくらい、その人は美しかった。長い髪を優雅に靡かせるその姿に一瞬で心を奪われた。目が離せなくなった。───そして、画面の向こうの彼女と、確かに目が合ったのだ。

    ―――――
     
     さくら。それはその人の名前。その映像はやっぱりエラーだったのか、ライブが終わると直ぐに途切れてしまった。賑やかなDJが呼んだその名前を手がかりに、僕はすぐにネットの海に潜った。情報収集は得意な方だ、あっという間だった。アイプリのこと、アイプリバースのこと、さくら、というひとのこと。
     知らなかったから、興味がなかったから目について来なかっただけで、アイプリバースデーは、とても有名な娯楽だったらしい。さくら───さくらちゃんは、最近デビューしたばかりのアイプリで、それも僕が見たものが、どうやらデビューライブだったみたいだった。
     初めてのステージで、あそこまで。歌はたしかに飛び抜けて上手いわけではなかったけど、それでも正確に紡がれていたし、ダンスはもう、完全に素人の僕でもわかるくらい、完璧だった。それになにより、その眼差しが、僕の脳裏に焼き付いて離れなかった。自信に満ちているような、優しく誰かに語りかけるような、突き抜けるように真っ直ぐな眼差し。その目に射抜かれた瞬間、閉じこもってばかりな僕の狭い世界が、一気に広がったような気がした。
     そこからは速かった。SNSをこまめにチェックし、ライブや配信は全部観た。見ているだけでは物足りなくなって、はじめてSNSのアカウントを作った。そうしてライブの感想などをつらつらと呟いていたらいつのまにか、たくさんの仲間ができた。わからないことをたくさん教えてもらったし、さくらちゃん以外のアイプリについても知った。やっぱりさくらちゃんが一番だけど。
     
     仲間はどんどん増えていき、だんだんフォローされる数も増えていった。僕はそれほど積極的に仲間たちと交流する方ではなかったのだけど、僕の呟きをお気に召してくれた人が多かったようで。たくさんのフォローには少し戸惑ったけれど、さくらちゃんの名前がたくさんの人に知られる一助になっていたら良いなと思う。
     フォローバックを諦めはじめた頃、さくらちゃんがスターアイプリになった。デビューしてまだ一年足らず。最速ではないけれども、快挙であることには間違いない。そして僕はいつのまにか、「界隈で有名なプリトモ」になっていて、恥ずかしいやら嬉しいやら、なんとも言えない。僕はただ、さくらちゃんの素晴らしさ、美しさをより多くの人に伝えられたら、それで。
     
     デビュー三年目に差しかかる今、短期間の活動休止やら臨時デュオやらの波乱を乗り越え、さくらちゃんの人気は日々高まっている。僕は嬉しくって仕方がない。
     アイプリに夢中になって、結局家には閉じこもってばかりの中学時代を過ごしたけれど、アイプリの話題で少し友達が増えたのだ。それまで友達なんてほとんどいなくて、ただ行って帰るだけの学校生活が、仲間と交流できる楽しい時間になった。憂鬱だったものがキラキラしたものに変わるなんて、なんてすごい。弱くて細っこい僕の根っこはいつまでも変わらないけれど、さくらちゃんに背中を押されて、少しは頑張れるようになったのだ。
     
     なんだかんだ、アイプリバースにはまだ行ったことがない。実は一年前───さくらちゃんがスターアイプリになったくらいの頃───に、匿名でアイプリブレスが届いた。嬉しかった反面正直薄気味悪さもあって、なにより僕はアイプリバースに行きたいわけじゃない。ただ遠くから見ていたいだけなのだ。そこからちょこっと元気ややる気を貰って、毎日を楽しくしたいだけなのだ。
     だから、ブレスは今でも、クローゼットの一番奥に眠っている。
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