Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    noir08_ff14

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 6

    noir08_ff14

    ☆quiet follow

    弊ラハ光♀ 初キスの話 自機名前出ます ちょっとやらしいので注意【前提】
    ・自機の名前はヨル
    ・ミコッテ、ムーンキーパー。
    ・緑と青のオッドアイで、紫髪のポニテ。
    ・特に関係ないけれど、6.0以降の時間軸。
    ____________________________________






    キス、とは。
    恋人や親類など、親しい間柄で行う愛情表現のひとつ。
    基本的には唇を合わせる事を意味するが、額や頬、指先など身体の一部に口付けすることもある。
    諸外国では挨拶として頬へキスをするそうだ。

    自分の持つキスに纏わる知識はこんなものだろうか。
    童話の中では王子と姫が互いの愛を確かめるためにすることもあれば、眠りから覚ます、変身を解くなど意味を持つ場合も少なくない。
    ここまで頻出するのは幼子ですら知っている、一般的な愛情表現だからだろう。
    姫と王子が登場する童話では大体の場合最後にキスをしてハッピーエンドだ。
    こちらは物語なので現実の知識にはカウントしないけれども。

    人の構造上、唇は皮膚である。
    皮膚と皮膚の接触である以上、基本的に握手と大差ないのでは、というのが個人の見解だが、前にそれをクルルとシュトラに話した時にかなり苦々しい目で見られたので恐らく一般的な見解ではないのだろう。
    とはいえ、では誰かに求められたら握手と同じようにキスをするのか、と聞かれれば答えはNoだ。
    それが何を意味するかも、どういった意図が組み込まれるかも理解はしている...つもりだ。
    つまりこの考えは人に話すべき見解ではなく、一般常識から外れている、ということである。

    熟考していると、頼んでいたティーセットが届く。
    ここまで思考を巡らせるきっかけは、たまたま入った喫茶の隣に座る女の子達の会話だった。



    「彼のキスが激しくて...でも、気持ちよくなっちゃってやめてって言えないのよね...」
    「あー...確かに激しそう...」
    「優しくして、って言うのは?」
    「うーん...やめてほしいけど、やめてほしくないって言うかぁ...」
    「え〜?悩みって言うの?それ。」



    激しいキス...?気持ちいい??
    唇を合わせるだけの行為にそんな要素あったかな...
    と真剣にキスの定義から考え直していた次第である。
    握手にも握力によって強弱があるので、そういう
    こと?でも唇に性感帯があるなんて話は聞いたことがないし...人に寄るのかもしれない。
    気になる...けれど、サンクレッドに聞くのは癪だし、他に経験豊富そうな人に心当たりはない。
    ならば実践してみるか?
    握手と同じとは言ったものの、行為として同じようなものだとは思っているが如何せん距離が近いので誰としても変わらないというわけではない。
    吐息が触れるような距離にいても、嫌だと思わない人。

    キス、してみたい人か...



    「こんばんは。突然訪ねてごめんなさい。今少し時間あるかな...?」
    「あぁ、勿論!あんたに声を掛けられて時間がない、なんてこと有り得ないからな。」

    委員会の作業を終えて、ナップルームで本を読んでいたら控えめなノックが響いた。
    扉を開ければ、少し緊張した様子の英雄が立っていて、都合を聞かれたので二つ返事で部屋に招き入れる。

    ただでさえ多忙な彼女が、わざわざ来てくれたのだから何か大変な用事だろうか。
    少し前までマトシャと南洋の島を探索していたのだと聞いていたがそれ関連だろうか?
    それとも終わったから次の冒険に?
    委員会関連ならクルルに話をするだろうし、どこか行きたい場所でもあるのだろうか。

    思考を巡らせながら紅茶を用意して、ミルクと砂糖を多めにいれる。
    日頃から稼働時間を増やすために無糖のコーヒーを飲んでいる姿を見かけることが多い彼女だが、その実甘めのミルクティーやココアが好きなようだ。
    本人は何でも好きだと答えるが、渡した時の目の輝き方が段違いだから分かりやすい人だなと常々思う。
    ミコッテ族は総じて熱い飲み物が飲めないので冷たいミルクで割って氷をいれて渡す。
    ありがとう笑う愛らしい笑顔を見るだけで、今日も頑張ってよかったなとオレまで嬉しくなるから凄い人だ。

    「それで?何かあったのか?」
    「うん、えっと...相談というか。聞きたいことがあって来たんだけど...」

    視線を落として、考え込むように黙ってしまった彼女を見て静かに待つ。
    他人を第一に考え、自分のことを後回しにしがちな彼女は優しすぎる性格からか個人的な要望を伝える時に深く考え込む傾向にある。
    急かさずゆっくりと待っていればきちんと話してくれるので、2人の時は話したくなるまで待つようにしている。
    手持ち無沙汰にはなるので彼女の結われた長い髪をほどいて三つ編みにしたり、悩む口元にお菓子を運んで食べさせたりして遊びはするが。
    決して急かさず待っていれば、意を決したように見上げた2色の瞳と目が合った。



    「ラハは、キスしたこと、ある...?」
    「......は?」



    キス?キスって、なんだっけ。
    魚か?そんなような学名の魚がいたような...
    いや、したことって言うからには魚ではない。
    キス......

    「な、え、なん、キス...?」
    「そう。キス。唇を合わせる愛情表現のひとつで、頬や額じゃなく唇同士を合わせるキス。したことある?」
    「そんな辞書みたいな...いや、違う。...あるよ。...ある、けど...なんで急にそんなこと...」
    「そっか。気持ちよかった?」
    「ちょっと順を追って説明してもらってもいいか!?」

    まだ彼女に会う前に交際していた人としたことは確かにある。が、あの頃は自分のことで精一杯で相手のことを考える余裕もなく、程なくして別れてしまった。
    なので特に思い入れもなければ気持ちよかったなんてことはない...が。

    「まず、なんでそんなこと聞くんだ?」
    「リムサ・ロミンサで食事をしていた時、隣の子達が話していたんだ。彼のキスが激しくて困っているけれど、気持ちよくて断れない、って。」
    「...うん。」
    「でも、キスって簡単に言えば握手と同じでただの皮膚の接触でしょう?激しい...は唇を当てる強弱の話かと思ったのだけれど、気持ちいい...はよくわからなくて。」
    「......ん?」
    「唇に性感帯があるという可能性もあるけれど、あまり聞かないし...かと言って、私には経験も知識もあまりないからよくわからなくて。サンクレッドに聞くのはなんとなく癪だからラハに聞きに来たの。」
    「...なるほど。」

    つまり彼女は断じてオレとキスがしてみたいだなんて可愛らしい理由で聞いてきたわけではなく、ただの興味の延長である、と。
    経験ではなく知識を求めてきたのだ、と。
    そういうことだろうか。
    というかあまりって言ったよな。もしかして経験あるのか?いつ?どこで?...誰と...?
    彼女はオレが過去に誰かとキスをしていたとして気にならないのだろうか。
    ...ならないから聞いてきたんだよな...

    「...オレも経験が多いわけではないからなんとも言えないが...少なくともオレがした時には特に何も感じなかったよ。」
    「そっか。じゃあやっぱり人に寄るのかな...彼女がそういう体質だった可能性も...」

    そう言って深く考え込んだ彼女に悲しさと、少しの苛立ちを感じる。
    男の部屋に1人で来て、こんな質問をして、危機感とかないんだろうか。
    そもそも彼女の話から示されるキスは恐らく触れるだけのキスではなく、深く触れ合うフレンチキスのことだ。そちらはオレも知識しかないのでどちらにせよ望む解答は出来ないのだろうけど。
    求められていたであろう解答は出来なかったが、他の人にも同じことを聞くのだろうか。

    何とも思われていないであろう事にも苛立ったが、他の男に同じことを聞いている彼女を想像して無性に腹が立った。

    「なぁ。あんたは?」
    「...うん?」
    「キス。したことあるのか?」

    あるって返ってきたら3日は仕事に手が付かない気がする。

    「ないよ。恐らく一般的な知識と、童話で読むようなフィクションの知識しか知らない。」

    あったら自分の経験から答えを出すよ、と小さく笑った彼女に酷く安堵した。

    「オレはあんたの求めていたような答えは出せてないが...誰か他に当てはあるのか?」
    「ううん、ラハ以外に聞く予定はなかったから...今度人体の本でも読んでみようかな。」
    「...流石に書いてないと思うぞ。」

    他に行くことも、キスの経験もなかった。悲しさや苛立ちは消えていないが、まだ誰のものでもないのだと安堵して彼女の柔らかい髪を撫でて、ふと思った。

    「なぁ、なんでオレなんだ?」
    「うん?」
    「なんでオレに聞こうと思ったんだ?あんたの周り、既婚者だって何人もいるだろ。」
    「......あー...っと。ね、えっと...」

    言葉に詰まった彼女を静かに待つ。
    さっき髪は三つ編みにしてしまったし、お菓子は食べきってしまったので大人しく彼女を観察する。
    キスの話をしたからか唇にしか目がいかなかった。
    別にいやらしい目で見ているわけではない。断じて。
    ふっくらとしたやわらかそうな、薄ピンクの唇。口紅は付けていないそうで、乾燥しないように無色のものを愛用していると聞いた。
    口自体が少し小さくて、食事をする時の一口も小さい。
    口を開けた時に見える牙はムーンキーパー特有のもので、笑った時に少しだけ見えるのが可愛いなといつも思う。

    「あの...ね、怒らないで欲しいのだけれど...」
    「怒ったりしない。大丈夫だ。」

    そう言ってまた少し黙ってしまう彼女の背中を優しく撫でてやる。
    あれ、少し顔が赤いような、気が...?

    「...もし、わからなかったら、キスしてって頼もうかと、思ったの。」
    「......」
    「キスしてほしい相手を考えた時に、ラハしか浮かばなかった、から...」
    「............」
    「でも私、したことないし...迷惑かけると思ったし、そもそもキスってそう簡単にすることでもないでしょう?だから...」

    前言撤回。可愛すぎる。
    赤い顔を隠すように手を口元に当てて、ふい、と顔を逸らしているけど首まで赤い。
    反応まで可愛くて、ついオレまで熱くなる。
    するならオレと、と考えてくれたことが何より嬉しくて、素直に気持ちを伝えてくれるのがとにかく可愛くて。
    今ならどんな面倒な依頼もこなせる気がする。

    「ヨル。こっち向いて?」
    「...ん。」

    椅子から立ち上がって、腕を優しく掴んで頭に手を添える。
    身体ごとこちらを向いた彼女は未だに顔が熱く、目線は下を向いたままだ。

    「ヨル。...オレの目、見て?」

    努めて優しく声を掛ける。急かすことも、無理に進めることもしない。ゆっくり、彼女のペースに少しだけ後押しをする。
    きっと言ったもののどうしたらいいかわからなくなってしまったであろう彼女に、ひとつずつ教える。
    溢れんばかりの愛しさと、飛び上がりそうな程の嬉しさを隠して、じっと待つ。

    彼女がきちんと自分で状況を飲み込んで進むまで待つ。
    それが今のオレが彼女にしてあげられる精一杯だった。

    立ち上がったオレに合わせてか、立ち上がった彼女の手を引いてベッドまで連れていく。
    靴を脱いで腰かければ、彼女も真似をして腰かけたのでやわらかい頬を撫でる。
    暫くして、宝石のような2色の瞳と目が合った。

    「ヨル。」
    「...うん。」
    「...はは、首まで真っ赤だ。」
    「...あんまり見ないで欲しい...」
    「やだ。」

    隣に座っていた時よりも遥かに近い距離で彼女に触れる。
    頬に触れたら擽ったそうに目を閉じて、耳を撫でれば恥ずかしそうに目を逸らそうとするので顎に手を添えて阻止する。
    目を見て、愛おしいのだと伝わるように優しく触れれば、嬉しそうに目を細めて笑うから、こっちまで嬉しくなる。そういう笑い方をする人だ。
    緊張が解れてきたのか、肩の力が抜けてきた彼女にもう一度声をかける。

    「ヨル。」
    「うん?」
    「キス、してみるか?」
    「......いいの?」

    戸惑いの見え隠れする瞳を見つめて、安心させるように笑ってやる。

    「ダメならそもそも聞かないさ。ただ...」
    「...?」
    「あんたの求めているものは、恐らくあんたの考えてるようなものではないんだが...いいか?」

    自分でも意地の悪い顔をしてしまっているのがわかる...が、これは少しの報復だ。
    本当に、本当に心臓に悪かったのだから。これくらいは許されるだろう。

    「え?あ、えと、どういう...?」
    「いいか?」

    戸惑う彼女に有無を言わさず追撃する。
    英雄としての彼女はあんなに真っ直ぐでかっこいいというのに、目の前の彼女は随分と可愛らしい。
    じっと瞳を見つめて、頬を包むように手を添え、唇を指でなぞれば、ぴくりと肩を揺らした彼女が小さく頷いた。

    怖がらないよう片手は指を絡めて、昂った感情を悟られないよう努めて優しく触れていく。まだ緊張はしたままだが肩の力は抜けたようだった。

    もう一度唇を指でなぞれば、そっと目を閉じたのでそのまま小さな唇に重ねる。
    触れるだけのキスをして、唇の力が抜けるまで何度も角度を変えて重ねた。急いてしまう感情を抑え込んで優しく、何度も。
    絡められた指に力が入るのを感じる。空いている手が服の裾を掴んでいるようで、たまらなく愛おしく感じた。

    頬に添えていた手をそっと項に回して、耳の下を親指で撫でながら重ねた唇に舌を這わせる。
    びくりと跳ねた身体を逃がさないよう繋いだ手を離して腰に回すと、開かれた2色の瞳と目が合った。

    「...口、開けてくれ。」

    吐息が触れ合う程の距離で見つめそう告げれば、戸惑ったような顔をしながらかぱ、と少し大きく開けてくれる。
    覗いた牙が可愛らしいが、笑いそうになるのを堪えて小さく首を振る。

    「...そうじゃなくて、こう。これくらい。」
    「...こう?」
    「そう。...上手だ。」

    手本を見せてやれば、真似をして薄く口を開いてくれたのでそのままもう一度唇を重ねる。
    薄く開いたままの唇にそっと差し込むと、驚いてか後ろに引いてしまったので、逃げられないよう腰に回した腕に力を込める。

    歯列をなぞり、上顎を撫でて、牙の形を確かめるよう這わせる。
    熱を分け合うように絡めて、愛撫するように優しく撫でた。
    時折彼女から漏れる小さな吐息と甘やかな声に箍が外れそうになるのを必死に抑え、彼女を蕩けさせることだけに神経を注いだ。

    腰を引き寄せ、空気すら入らないほど距離を詰めて、脳が甘く痺れるほどに深く触れ合った。
    たまに呼吸を挟ませながら何度も重ねているうちに、いつの間にか彼女の腕もオレの背中に回っていた。縋るように掴まれた服に皺が寄っている。
    閉じた瞳から涙が零れるのを見てそっと離してやる。
    名残惜しいかのように光る銀糸に昂る感情を何とか抑え込み彼女を見れば、蕩けきった表情でこちらに凭れていた。
    未だ呼吸の整わない彼女を抱きしめて、そのままベッドに倒れ込みもう一度触れるだけのキスをする。

    「どうだった?」
    「...え?」
    「キス、してみて。気持ちよかった?」

    こちらを見上げていた視線を下ろして肩口に顔を埋めた彼女は、小さく、何度も頷いた。
    嬉しくなって抱えるように抱き締めれば、もー、と困ったような声がする。
    しっぽが足に絡んでいるから、喜んでいるのだと勝手に解釈して少し崩れた髪を撫で回す。

    「...髪、あとで直してね。」
    「任せろ。」
    「ちょっと苦しかったんだよ。」
    「ちゃんと呼吸出来てなかったろ?練習しような。」

    途中で気付いたことだが、上手く呼吸が出来ていないようだった。
    少し口を離して呼吸をさせて、また重ねてを繰り返していたがもしかしたらそれも上手く出来ていなかったのかもしれない。
    頬を撫でてそう言えば、小さく頷くから可愛い。
    またしても良いってこと...だよな。

    「...ねぇ、ラハ?」
    「ん?」
    「ラハは、どう、だった...?」

    服の裾を摘んで、不安そうに見上げる表情が落ち着いてきた感情をまた昂らせる。

    「...今めちゃくちゃにしてやろうかなって思った。」
    「...!?」
    「良かったんだ、凄く。またしたい。...したい。してもいい?」
    「い、今!?ちょっとまだ落ち着いたばかりで、その、ただでさえこんなに近くにいて心臓うるさいのに...」
    「...可愛い。キスしたい。...ダメか?」
    「か、かわ...!?...その、ダメじゃない、よ。私も、したい。けど、けど!!...ちょっと待って、ほしい。」

    焦って色々口走ってるのに後で気付いてまた耳がわなわな震えるんだろうな、と考えるとやっぱり可愛い。
    待てと言われたので崩れた髪をほどいて編み込んでいく。寝ながらしてるからちょっと不格好だ。きっとまた気付かれたら直してって言われるんだろうな。

    脚を絡めて、腕に頭を乗せて、肩口に顔を埋めて。
    キスしていた時より距離は近いのに、何故か気まずくならない雰囲気に自然と笑みが零れる。
    頭を撫でて、耳をつついていたら胸元から小さな寝息が聞こえ始めた。

    疲れからか眠ってしまった彼女にお預けを喰らったまま、仕方ないなと編んだ髪をほどいて灯りを消す。
    明日目が覚めた時、この状況にきっと顔を真っ赤にして今日のことを思い出すのだろう。
    朝起きたらまた迫ってみようか、一日中、オレのことだけ考えてくれたらいいのに。
    きっと抵抗はされない。慌てて、照れて、受け入れてくれるだろう。ただの勘だけど。

    明日のことを考えて楽しくなる。
    世界中が知ってる、強くて、美しくて、かっこよくて、真っ直ぐ進み続ける彼女の。
    殆ど知られていない可愛らしい一面を知って何度喜んだことだろうか。
    今日知った表情は、...あの蕩けた顔は、吐息は。きっとオレしか知らない。
    そんな優越感に浸りながら、離さないようしっかりと抱き締めて眠りについた。




    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works