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    らご氏

    @drgn_hd

    ドラケンガルドを旅するしがない字書き。稀に絵も描きます。

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    POIPOI 21

    らご氏

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    少年グロアラ

    マイネームイズ きれいな子を見つけた。

     おそらく、同じくらいの年齢だと思う。
     けれど、そのどんな子よりも聡明そうで、堂々として、ひたむきで。
     なにより、他に知るどんな子どもたちよりも意志の強い眼差しが印象的で。
     いつしか、彼を遠くから見ることが日々の楽しみとなっていた。
     この城にいるということは貴族の子女なのだろうか。
     陽光に輝く髪も、きらきらとした眸も。伸びやかな四肢も。
     あの子を見つけてから、それは密かな宝物。
     あの子と話をしてみたい。
     名前は何というのだろう?
     本は読むかな。小説? 絵本? それとも図鑑?
     虫を採ったりはするのだろうか?
     中庭の木々には大きな蜻蜓ヤンマが来ることを彼は知っているだろうか?
    「こんにちは」
    「こんにちは、きみは?」
    「……わたしは……」
     初めての会話。何を話したのかよく憶えていない。
     物覚えは悪くない方だと思っていたのだけれど、その一挙手一投足に見惚れてしまい、頭に何も入ってこなかった。
     ただ、夢中で喋って、とても楽しかったことだけは確かだった。

     けれど、親愛なるきみ。
     わたしはきみに名乗れない。
     きみがわたしの名前を知れば、きみも打算的な野心家の大人たちが預けていった『友人たち』のようになってしまうのではないかと。
     それが恐ろしくて。
     きみは名前を教えてくれたのに、臆病で卑怯者のわたしを許して欲しい。

     グロスタ。明日はきみに名乗れるかな。

     
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    Replies from the creator

    らご氏

    MOURNINGメモ帳に残っていたお話未満の走り書き
    これ書いたあとにほんへ見直したらギルが「父上にも母上にも愛されていた」とルートヴィヒについて語ってるの確認して、割と亡くなったのは最近なのかな?じゃあこれ駄目じゃん!となったんだけど、遺品や誰かの話から愛の名残を感じたのでもいいのかな?と思ったり

    いつか再利用するかもしれない
    子守唄の話「グロスタ。少し眠ろうか。お前も休め」
    「はい」
     アラミスはグロスタの頭を撫でる
    「アラミス、殿?」
    「……母上のことはほとんど覚えていない。ギルベルトをお産みになって、すぐに逝ってしまわれた。当時は少しばかりギルベルトを恨んだ。弟が、母上を奪ってしまったのだと。だが、私は母上の子守唄を憶えている。ギルベルトにはそんな思い出もない。可哀想な弟だ……」
    「……」
    「子守唄を歌ってやろう。お前は働き過ぎだからな」
    「……私は、親不孝だと思うかね? 王太子として責務も果たさず、王位は投げ出し、きっと子を成すこともない」
    「いいえ、ルートヴィヒ様」
    「グロスタ?」
    「……ヒューゴ様もお后様も、貴方が生きて、お幸せであることが何よりだと存じます。俺は人の親ではありませんが、妹が貴族の身分を捨て砂漠の若者に嫁いだときも、ただ彼女の幸せを祈っておりました」
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