r 広く取られた窓から射し込む光はとても眩しい。
薄暗い故郷とは全く違う、目を細めたくなるほどの眩さにも、流石にこの一年で慣れた。
照明がなくとも手元が見やすいのはいいことだ。
日常生活で魔法を使うことに慣れているのを誤魔化すのにも丁度いい。つまるところ、使わなくてもいい状況、というヤツだ。
のどかで平和で虫唾が走る程。
こんなに平和ボケしたイージーモードな世界だというのに、歴代の大魔王は誰も未だ侵攻を成功せしめていないのは何故なのか。
皮肉に思いながら、手元のメモをぐしゃりと潰した。
そのまま青い炎に包まれて、灰も残さず消え去ってしまう。
視線をくれてやることもなく、持参していたゴシップ誌を広げた。
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