祓い屋。穢れを祓う特殊な掃除屋。それがうちの大昔から代々伝わる家業。
幼少の頃から人間の負の感情の集合体のようなものを相手にしていると、ある程度は人間の本質を見抜けるようになる。この世の者もこの世の者じゃないモノも、等しく同じだ。言い寄ってくる人間には必ず下心がある。それはもうわかりやすいくらいの。
由緒ある家業なのはわかるし、世の中の役に立っている事もわかる。ただ、古めかしい伝統のせいで、制限されてる事も多いのが窮屈だ。
年齢をある程度重ねれば、口を開けば「跡取りだ」だの、「お世継ぎだ」としか言われないので煩わしくなってくる。そんなある日のこと、また両親が見合いや縁談の話を始めたかと思ったが、今日は様子が違った。
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