ブロック塀の向こう側 アパートから大学に行く道の途中に、派手に荒れ果てた家がある。
綺麗に立ち並んだ住宅街の角にぽつんと佇むその家は、通りがかった小学生に「お化けの住む家」と言われていた。
隣は空き地となっていて、伸びた蔓が壁を這い亀裂の入った家は、来る者を拒んでいるように見えた。玄関から庭にかけては鬱蒼とした木々が生い茂っており、窓ガラスは割れ、ぼろぼろのカーテンは引き千切られたように汚れている。
早く取り壊してしまえば良いのに、と俺はその家を見る度に思うのだが、何か事情があるのか、その家は俺がこのアパートに越してきた頃からまるで変わる様子がない。せいぜい庭の木々の様子が、四季で変化するくらいだ。
俺はなんだかその家が不気味に思え、今まであまり近づくことはなかった。
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