「そういえば、イデアくんそろそろお誕生日なんだって?」
何がそう言えばなのだ、と突然話を向けられたイデアは固まる。彼は予鈴が鳴るぎりぎりまで別所で時間を潰し、授業が始まる直前に教室へ戻った。恐る恐るといった足取りで、クラスメイトと楽しげに団欒するケイトの脇を通り抜ける際、「イデアくんじゃん!」と親しげに声をかけられる。イデアからするとこの挙動からもう理解が及ばない。陽気な彼らからしたら、自分はただの、ちょっと奇妙な背景に過ぎないと念じて、思い込んでどうにか教室へと足を運んでいるのに。
「ヒッ、ケ、ケイト氏、どこ[[rb:情報 > ソース]]ですか、それ……」
ケイトと話していた学友の視線も自然と己の顔に集中し、イデアは藪蛇な気持ちだった。拙者、席に座ろうとしただけなのだが……!?
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