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    瀬名🍭

    書きかけ、未修正の物含めてSS落書きごちゃ混ぜ。

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    POIPOI 95

    瀬名🍭

    TRAININGれーりつ/普通に別れてる。頭いい子が情にまみれてぐるぐるしてたら可愛いなと思った。見つけたところで終わった方がよかった気がするし若干うーん?ってなってて書き直しそうな気もするけどまあいいや彼女との結婚が決まり、一人住まいの部屋の整理をしていた時のことだ。実家を出てから物はあまり持たなくなったし、定期的に不要な荷物は捨てていたから、どこか出張にでも出掛けるようにすんなりと片付けは終わった。が、部屋を出て行く前日だったか、書棚と壁の隙間から書籍が転がり出てきた。長らくひっそりと僕の生活の影に潜み、埃をかぶっていたその本の往生際の悪さは持ち主の資質を思わせた。それは霊幻さんの私物で、「お前にやるつもりだったんだけどなー」とか本気だか冗談だかよくわからない戯言をぶつくさ言いながら、絨毯に這いつくばって隣のスチールラックやベッドと床の合間に目を凝らしていた後ろ姿を昨日のことのように、思い出すことができる。結局初めての贈り物という彼の企みは失敗に終わり、どうにもかっこつかない恋人のそんなどうしようもないところを僕は好ましく思っていた。
    「まさかこんなタイミングで現れるなんてな……」
    中身をパラパラと捲ってみると意外にも詩集だった。記憶が確かなら彼が学生時代によく読んでいたという。僕の情操教育に役立つなどと保護者顔でおどけていた様子が脳裏に甦り、僕は少し顔を顰めたがそれだけだった。僕 1522

    瀬名🍭

    TRAININGれーりつ 「貴方はれーりつで『来世でもよろしく』をお題にして140文字SSを書いてください。」 勢いでかいたら伸びた僕が街を離れて数十年が経った。街並みは寄せ集まっては瓦解して、早送りの羽化を見るようで帰るたび知らない顔を覗かせた。その中で意外にもしぶとく相談所は居座り続け、商い主の葬儀に人々は列をなしたが肝心の霊幻さんだけが彼の人徳を示すこの光景を知らないのだった。後年数多の証言により一廉の霊能力者として名を残すのは確実だった。彼がそう望んだかは定かでないが、斎場に例の彼特有の妙な気配は感じられなかったので悔いなく成仏したのだろう。
     兄は終始気丈に振る舞っていた。霊幻さんは彼を慕う人々に囲まれ穏やかに晩年を過ごしたと聞くが、一番の友人を失った兄の胸中の悲しみはいかばかりか想像がつかない。二度と戻らない半身。柄になく熱いものが込み上げてきたので、ハンカチで目元を押さえていると、祭壇の花に囲まれるようにして中央に置かれた彼の写真に静かに微笑みを向けられた。目尻に笑い皺を深く刻んでいる。
    「俺の伝記を書いてくれないか?」いつ交わしたのか全く思い出せない台詞がふと耳に蘇る。おそらく僕がまだ十代だった頃だ。たまに兄の代理で相談所へ顔を出していた。理由はただそれだけだった。
    「イヤですよ」
    「即答だな。まあ 1724

    瀬名🍭

    TRAININGれーりつ。うっかり一ヶ月以上間が空いてたのでメモ帳で眠ってるのを引っ張り出したが当時想像したオチを忘れた。時刻は午後五時を回っていた。今日は兄さんの代理で受付に座り、簡単な案内役を務めている。指に沢山の指輪をはめ、ゆったりと腰を揺らせて歩く妙齢のご婦人、日を浴びれば消え去ってしまいそうな生っ白い肌の二、三十代、覇気のない男性、怒りを示すのがライフワークになり自らも怒気の芸術品になってしまったかのような、肩をそびやかしてやって来た中年男性、と本日のお客様の様子を、僕は手にした本に目を落としながら、時折まるでお菓子をつまむみたいに盗み見た。対応するのにやや手腕が問われると思われる客人も、依頼が終わるときには皆何かしら手応えを得た顔つきで会計を済ませていくのだから、この店の主人はなかなか上手くやっていると言えた。
    「何読んでるんだ?」
     マッサージ療法を終えた霊幻さんは肘の所まで捲り上げたシャツの袖を指でつまんで、手首まで下ろしながらこちらへ近づいて来た。僕が答える前に表紙を見て「はー」と唸る。「もうそんなの読めちゃうんだな」
    「年は関係ないですよ」
    「まぁな。出だしかっこいいよな」
     既読なんだという小さな驚きと新雪に足跡をつけられたような微妙な感情がそのまま顔に出ていたのだろう。霊幻さんはし 1032