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    肝が冷える思い

    思い出さなければそんなこと無かったも同然

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    肝が冷える思い

    DOODLE一枚絵全然描けなくなっててワロりましたねえ前世の存在を信じるなら、きっと自分は大罪人であったに違いない。

    蘆屋道満には秘密がある。
    道満は体に人面瘡を飼っていた。否、飼われていた。
    二十を過ぎた頃に、それは道満の培った全てを壊した。

    幻覚めいてはいるが、触れるし、ものを食いもする。昔、膝に生えた顔にカッターを添えて舌でねぶられたことがある。突き刺そうとすると、するりと肌に消えて自分の体を傷つける羽目になった。痣は、痣を殺そうとしてまた痣を増やすさまを腫れ物の口で愉快そうに笑った。
    自傷癖を疑われて医者にも診せられた。痣はひとつの息もつかなかった。そうして一人の精神異常者が出来上がった。

    もちろん死のうと思ったことは一度や二度ではない。その度に痣が邪魔をする。死のう、と思った次には日を跨いで目を覚ますこともままあって、もはや痣は痣ではなく、道満の体に取り憑いた悪霊か何かだと思う方が正しかった。
    痣と付き合う秘訣は、大切なものを作らないこと。誰にも頼らず、一人で生きること。





    痣は道満を飼い殺している。

    ワアワアと叫び出すものだから、急いで首を手で塞ぐ。近くを行く人がぎょっとしてそそくさと逃げるのを見て舌打ちをし 1172