----
「……私のものにならない君なんか、いらない」
ひとつ、吐息だけで、私はその言葉をそっと吐き捨てるように音に乗せる。
どれだけ彼が優しくって、格好良くたって、それらが周りの人々を魅了して止まない理由になってしまうのなら、私にとってはただただ邪魔なモノでしかない。
私以外を惑わすようなものは、在るべきじゃない。
そんなものは、いらない。
不必要なのだ。
だけど、驚いたような彼の顔に、私の体温はみるみる内に下がっていく。
(……ねえ、でもね、こんな私をおかしいと言うのなら、もしも君が本当に私だけのものになったとしたって、私、そんな君はほんの少しだっていらないの、)
ぐずぐず、ワガママで、子供みたいな横暴理論。
1961