🍬4️⃣ 木枯らしがひんやりと肌を撫でる。数日前までの夕方の生ぬるさが嘘のようだった。
見上げればうろこ雲が黄昏に輝いている。
「何してんだ?」
待機車の前でぼうっと立っていると、背後から声をかけられた。振り返れば大きな紙袋を抱えたシモンがいる。
「あなたを待って空を見てた」
そう返事をして彼へ手を伸ばす。荷物を代わりに持とうとしたのだが、うまく伝わらなかったらしい。彼は紙袋の中からお菓子を取り出し、僕に渡した。
近くの洋菓子屋のロゴが入ったオレンジ色と紫色の包み。破ってみれば、ナッツとマシュマロのクランチチョコレートが現れた。
「甘いモンばっかりもらっちまった。シャドウテイルで配る」
紙袋の中身はすべてお菓子なのかもしれない。シモンは仕事として部下と商店を回ったはずだが、畏怖を込めて丁寧なもてなしをされたようだ。
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