アンソロ提出原稿(降風)アンソロ提出原稿
風見裕也の私生活は酷い、というのは部下にすら言われている事実だ。
睡眠が少ないのは部署全員に当てはまるが、その中でも圧倒的に少ない。食事も時間があるときでコンビニ弁当を食べればいい方、酷い時には栄養バーとサプリメント、更に酷くなるとカロリーの摂取ですらもお菓子で賄おうとする。もう少し小柄ならばそれでも対応出来た可能性もあるのだろうが、風見は男にしても長身でガタイだって平均よりもある。そんな身体が雑な食事でいいパフォーマンスを保てるはずが無い。
「……って、説教したのは覚えているか?」
「すみません」
「謝罪の言葉が聞きたいんじゃないのもわかるな?」
「……はい」
降谷と顔をつき合わせて説教をされているのは、降谷のセーフハウスのうちの一つ。安室名義ではないから普段から頻繁に使っているわけではない場所のはずなのだが、それなりに生活観があるのは、他人を招く可能性も一応考えてはいるのだろう。
12072