isgと半ゾンビkrnのゆるゆる世紀末④◇
数日かけて、潔と黒名は僻地を抜けた。
ようやく街中といえる風景に近付いたとき、潔は安心すると同時に警戒を怠らなかった。
人が多い場所では、比例して感染者も増える。
暗闇に紛れられる夜よりも、太陽が照らす昼間は行動するには有利だった。
潔はあの特徴的な足音が聞こえないか常に耳を澄まし、定期的に周囲を見回した。
ここからは、より慎重になる必要があった。
数キロも進むと、段々と潔にとって見慣れた建物が現れはじめた。生まれ育った街を、これほど恋しいと思ったことはない。
気が緩むのを感じながら、角を曲がった潔がピタリと足を止める。つられて、黒名も立ち止まった。二人の視線の先には、こちらに背を向けて棒立ちになっている男性がいた。
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