ALL クラティ 遊び そのた エドウィン ottotto503MAIKINGBotWリンゼル酷く美しい夢の中にいるような感覚だ。息を吸えば、新鮮な空気が喉の奥を通り抜ける。空を見上げれば、見つめ続けられぬほどの光がこの世界を照らしている。水は透き通り、草木は青く茂る。雨がふり、雪が積もり、そしてまた太陽が恵みを与える。百年前の私は、この素晴らしさを知っていただろうか。「あ」同じ場所なのに、同じではない草原を歩く。以前はなかった花々や、生き物たちを見つけては、ついつい感動し、口に出してしまう。「リンクこれ!見てください。この子こんなところに成っています」私が呼び止める度に、リンクは微笑んでこっちに来てくれる。以前もこうして話を聞いていてくれたけれど、どことなく昔よりも楽しそうなのは気のせいだろうか。「ああ、これ」私が目を止めたのは、寒い雪山の近くによく自生しているのを見かける実。一つ、小さなその実をリンクは器用に摘み取る。「ポカポカ草の実だ」「え!」「正解ですか?」「正解です。すごいわリンク、すっかり詳しくなってる」「へへへ…」嬉しそうに笑うリンクを、私はまだ、珍しいものを見るような目で見つめてしまう。未だに慣 1499 ottotto503BLANKティファ?人一倍、恋をすることに憧れがあったはずなのに、私はまともにそれを経験しないまま大人になった。いつだって憧れていた。困ったときは駆けつけてくれて、悲しいときはそばにいてくれるひとの存在に。その「誰か」はきっととても優しくて、微笑むのが上手なひと。その「誰か」はきっと頼り甲斐があって、私の不安も想いも全部抱きしめてくれるひと。少女だった私は、繰り返し繰り返し夢をみた。その「誰か」がいつか、私を迎えにきてくれることを。だけど…大人になった私は、いつの間にかそれを単なる「夢」にすり替えていた。頭のどこかで、現実には起こりえないことなんだと…考えている自分がいつも、いた。 296 1