藍に愛みて相見える 風上に立つ小松田くんが無邪気に吹いた蒲公英の綿毛は、ほとんどが風下に立つ私のところまで飛んできて、髪にまとわりついた。
そのことに気づかない小松田くんは、新たに摘んだ綿毛に息を吹きかけようとしている。またこちらに向かって飛ばされたらかなわない、といくらか場所を移動してみたが、なんの嫌がらせかそれに合わせて風向きも変わり、第二陣が襲い掛かってくる。もがくように手を動かして抵抗を試みたが、戯れるかのようにふわりふわりと舞う綿毛たちは文字通り掴みどころがなく、私の髪や小袖に着地していった。
「あぁ、もう」
イライラしながら綿毛を払っていれば、ようやく私の様子に気がついたらしい小松田くんが、綿毛を吹くのをやめてこちらに駆け寄ってくる。
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