⑪そもそもセックスと言うものにあまり良い印象を持っていなかった。
あさましい程一つでも多くの機会を求めるクラスメイト達には辟易していたし、女性の体を誰かがあるいは本人が何か価値のある勲章や贈り物の様にやりとりしている様子にも鼻白むものがあった。
それでもどうやら僕の無愛想でしつこく懇願して来ない所が気に入って近づく女性もいて何度か機会は持ってみた。その後女性達は漏れなく気に入ったのと同じ点に憤慨し、我慢ならないと去った。
それはそれで構わなかった。体を差し出すからと突然態度を変える女性達のどのパターンにも違和感を覚えたし、何より不潔な場所やシャワーはおろかコンドームすら使わないセックスを望まれるのも嫌だったしキスから何から何もかもぬるぬるとした感じも、済んだ後シャワーを浴びに行きたくてそわそわするのも苦手だった。
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