クリスマスの烏詠「クリスマスケーキどうっすか~」
住宅街にあるコンビニ前。
駐車場の横に設けられたスペースにテーブルを置き、そこではこの季節定番のものが売られていた。
当日の昼間まで残ったケーキはさて売れるのだろうか、などとどうでもいいことを思いながら詠は通り過ぎようとしたのだが。
「なんだあの赤い服を着た不審者は」
サンタクロースの恰好をした若い男の店員が気だるげに声をかけているのを、烏天狗が訝しげな顔をしながら指さす。
「え、サンタクロース。知らない?」
「それくらいは知っている。しかしあの男はサンタクロースじゃないだろう」
「まあ、本物じゃないけど……」
この時期なるとサンタクロースのコスプレをして店に立っている店員などどこででも見かける。
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